SDGs事例紹介
記事を読む前に知っておきたい予備知識
・沖縄のハブ
・日本エコレザーとは
・なめし(鞣し)加工とは
沖縄のハブ
沖縄県は、猛毒を持つハブが生息し、年間50~60件前後の咬症被害が発生しています。
特に、農作業や行楽等で田畑や山野への出入りが多くなるこの時期に、ハブ咬症被害も多く発生しております。
県内に生息する毒ヘビで危険なものは、ハブ、ヒメハブ、サキシマハブ、タイワンハブの4種類です。
ハブは生息地や個体、種類によって皮の特徴や模様が違います。
ハブ類咬症発生状況は2021年では、件数が49件となっています。
ハブ類駆除件数:令和3年 総数:6,621となっています。
日本エコレザーとは
日本エコレザーとは、一定の材料基準を満たし、環境への影響が少ないと認められた革材料を指します。
《エコレザーの定義》
動物皮の皮膚断面繊維構造を損なわず、鞣(なめ)しが行われ、仕上げ塗装塗膜が0.15mm以下で、かつ断面構造の70%以上の革です。認定対象革は次の3類です。
第一類:主な家畜動物5種類(牛、馬、豚、山羊、羊)の銀付革、起毛革、ガラス張り革など。
また、姫路白鞣し革、太鼓革などもこの類に属します。
第二類:第一、第三類の革を水平に分割した時に生ずる床革(とこかわ。肉面側)を再利用した革。
第三類:第一類、第二類以外の革、すなわち野生動物または養殖動物で取引証明等のあるものを(各種動物革)とした。
《日本エコレザー、6つの条件》
1. 天然皮革である
2. 発がん性染料を使用していない
3. 有害化学物質の検査をしている(ホルムアルデヒド、重金属、PCP、禁止アゾ染料)
4. 臭気が基準値以下
5. きちんと管理された工場で作られた革(排水、廃棄物が適正に管理された工場で製造)
6. 染色摩擦堅ろう度(色落ちしにくい)が基準値以上
なめし(鞣し)加工とは
なめし(鞣し)とは、動物の皮から腐敗の原因となるたんぱく質や脂肪を取り除き、薬品を使って柔軟性・耐久性をもたせる加工技術です。
なめしによって、皮は耐熱性を備え、腐りにくく、柔らかくしなやかな革へと生まれ変わります。
なめし工とは、硬く腐敗しやすい動物の皮を、薬品で柔らかさを出し、腐り難くする処理をするプロの事をいいます。
SDGs取り組み内容
取り組みの概要
・県産「駆除ハブ」を活用し生態系を崩すことなく、環境にも配慮したアイテムを製作。
・環境に優しい薬品の使用。
・「脱ムダ(脱プラ)」により、基本包装(無料)はOPP袋とエアパッキンのみにし、ギフトボックスなどは必要な方のみにお渡しをしている。
・新鮮な「駆除ハブ」を活用し、沖縄82そば(ハブそば)を販売している。
・県内でのイベントを増やし、技術や伝統文化の継承にも力を入れている。
取り組みの詳細
那覇市・南風原町・伊江島・久米島・伊平屋島・中城村の6市町村で駆除されている駆除されたハブを購入し、
製品を制作しています。
ハブの皮を使った製品作りだけではなく、ハブの骨を利用した作品を作ったり、また駆除した新鮮なハブで沖縄そば(ハブそば)を作っています。
剥ぎれに関しても全て使用できるように、商品開発の工夫を行なっています。
沖縄の素材を使いたいという強い思いから、独学でなめし(鞣し)加工を約2年半学び、その後商品開発・販売を行い
2009年には、「日本エコレザー基準認定革」として認定されました。
yu-i FACTORYで使用しているハブ革や牛革はタンニンレザーを使用しています。
タンニンレザーは「土にかえる」ほど環境にもに優しい革としても知られています。
また、商品のラッピングの際には、プラスチックの無駄を省く為にも、必要な方へ化粧箱(無料)やギフト包装(有料)を行なっています。
技術や伝統文化継承の為にも、沖縄県内のイベントにも多く参加をしています。
今後の展開
藍染で染めたハブ皮の商品開発に力を入れる。
駆除ハブを使用した製品の浸透・認知を図る。
イベント活動などを通して、技術や伝統文化の発展に力を入れる。
取材を通して感じたこと
危険なハブが?!
沖縄で危険な動物として知られているハブ!捕獲された後は、処分をされてしまうだけなのか?と疑問を持っていましたが、
yu-iFACTORYさんの活動によって、新しく命が吹き込まれ、更に、沖縄の伝統文化の伝承などにも繋がると知り、
私がこれまで知っていたSDGsの活動とは違い、SDGsの活動は幅広く、そして深いものだと改めて感じることができました。
生き物の命を無駄にせず、環境にも配慮した取り組みは素晴らしい活動だと思います。
製品一つ一つに、幸地さんの思いや工夫が見られ、製品を見ているだけでも楽しい気分になりました!!
[ 新垣 ]
命を無駄にしない
厄介者として駆除される存在であるハブを、価値あるものに生まれ変わらせる取り組み。
非常に興味深いし素敵だと思いました。
ハブの皮はもちろん、その背骨も身も無駄にせず有効活用しており
SDGsの観点からもそうですが、何よりも命を無駄にしないという点に感動しました。
そして命を無駄にしないということのみならず、独自に加工の製法も研究し、
製法にもこだわりを持って作っているのがとてもかっこいいなと思いました。
何事もできることをやってみることが大切なんだと感じ、今後の可能性を想像すると非常にワクワクします。
[ 宮城 ]
関連情報
最近更新されたSDGs事例紹介
おからを活用した製品開発
製造業
・おからを使った代替肉の製造・販売
・おからを使ったグラノーラの販売(イベント時のみ)
・牧場と提携し循環型の農業支援やジェラート作り
・ピッチコンテストでの最多マッチング賞獲得
・食品のアップサイクルに関わる企業との意見交換
・島ぜんぶでうむさんラボ賞を獲得!
地域の暮らしと水のつながりの向上を目指して
研究プロジェクト
持続可能な自然環境の維持と貢献に努めるべく、沖縄県をメインに日本国内外の水質調査等を通じて、陸から海へ循環する水の
水質改善や水不足の解消に関する取り組みを行っています。
また、地域住民への水についての指導やワークショップも行い周知活動をしています。
周りと違っても大丈夫!
NPO法人
・LGBTQ・性の多様性の啓発活動
・小中高特別支援学校児童生徒対象LGBTQ・性の多様性講演会、教職員研修、行政・大学・企業・保護者・一般対象等の講演会
・LGBTQ・性の多様性に関する授業作り・普及
・レインボーハートグッズ商品企画・普及
・LGBTQ・性の多様性に関する児童生徒、教職員等の相談対応