SDGs事例紹介
記事を読む前に知っておきたい予備知識
・「残業文化」と過労死・過労自殺
・働き方改革
「残業文化」と過労死・過労自殺
1970年代頃から、「Made in Japan」が世界的に評価され、需要が急激に伸びました。それに伴って追いつかない供給をカバーし、コストを削減する目的で生まれたのが、「残業」です。
人を雇うより便利だと安易に判断する経営者が多く、ムダであっても努力が美徳という生真面目な日本人の性格が悪い追い風となり、「残業文化」は日本の悪習となりました。
時を同じくして、70年代後半から中小企業の管理職層で心筋梗塞を発症する人が増え、80年代になるとサラリーマンが突然、心筋梗塞や心不全、くも膜下出血、脳梗塞などの疾患で命を失ってしまう「過労死」という言葉や、精神的に病んでしまう「うつ病」といった言葉が浸透する時代となりました。
88年には、職業病に詳しい専門家が中心となって「過労死110番」が設置されると、電話が殺到したそうです。
それでも残業は増え続けました。
90年代になっても企業が手をつけたのはコスト削減でした。「カネ」が優先され「人」が酷使しされ続ける傾向が続きました。
残業でカバーできない部分は賃金の低い非正規雇用を増やしたり、外国人労働者でまかなってきました。
グラフをみても分かるように、2000年以降も認定されているだけでも「平均で毎日1人が過労死で死んでいる」という状況が続いています。
そんな中、2015年に大手広告代理店の電通の女性社員が過労自殺した事件が起こり、裁判に発展していったことによって世間の目もようやく労働環境問題に焦点が集まりました。
日本国政府も、2013年に国連から長時間労働に対しての是正勧告がなされてきた背景や、ワークライフバランスが保てないことで結婚しない人たちも増え、出生率が年々低下して労働人口がどんどん減っている現状、および労働生産性がOECD主要7カ国で最下位であることへの対策として、2019年から「働き方改革」による課題改善の取り組みがなされています。
働き方改革
既存の労働基準法に加えて、2018年に成立した「働き方改革関連法」が施行されました。
労働基準法にて、法定労働時間は原則として1週40時間、1日8時間までと決められています。
これを超える労働時間は残業であり、労働者側との協定(36協定)を交えて残業時間の上限(1ヶ月で45時間以内、年間360時間など)が定められています。
また、企業は別表にあるように法定時間を超えた分の残業代には割り増し賃金を支払わなければなりません。
法律を守らない企業への罰則も強化され、企業は残業をさせることによる負担やリスクが大きくなることになりました。
上述のような事件もあり、労働基準法に違反しワークライフバランスが取れていない企業は「ブラック企業」と呼ばれるようになって、若い世代の就職への意識も大きく変化してきました。
ブラック企業は人材の定着率が悪く、社員のモチベーションが上がらず良い人材が集まらないため、生産性が低下していくという悪循環となり、いずれ衰退していくことを余儀なくされています。
世界でコロナによるパンデミックが起こったことで、労働スタイルを改める契機にもなり、持続可能な健康経営をするためには、労働環境の見直しは当たり前の時代となったと言えるでしょう。
ちなみに沖縄労働局によると、定期健康診断で異常を指摘される労働者の割合が沖縄は9年連続でワーストです。
さらに、65歳未満の死亡率が全国平均を上回っています。
沖縄でも早急な健康経営、働き方改革が求められています。
SDGs取り組み内容
取り組みの概要
SDGs目標8「働きがいも経済成長も」の実現を筆頭に、コンサルティングを通して沖縄の企業の人材育成や組織の活性化をサポートしています。
取り組みの詳細
企業向けの働き方改革のコンサルティングやダイバーシティ推進研修の実施などをはじめ、自治体主催の男女共同参画研修や男性の育休取得推進研修、夫婦コミュニケーション研修、さらに学生向けのセミナーやキャリア教育なども行っています。
今後の展開
「多様性を可能性に」の理念の下、誰もが自分らしい「幸せ」を感じられる社会を目指して活動しています。
また、おきなわSDGsパートナーとして県のネットワークを通したSDGsの推進に貢献してまいります。
取り組みを通して
起業した2012年ごろは、「働き方改革」という言葉はなく、「ワークライフバランス」という言葉もちらほら聞こえる程度で、国が主導して労働環境改善を進めるという機運はない時代でした。
今では法の力もあって社会の注目もされて働き方改革を進める企業も増えては来ましたが、まだまだそれが本質的な改革に繋がっているかどうかは個々の企業によってまちまちなのが現状です。
大企業・中小企業に関わらず、しっかりやっているところは中長期的な視点を掲げて体質改善による生産性向上まで行っていますが、法律だから残業するな、といった短絡的な視点だけでは本質的な改善にはなりません。
「働き方改革」の施策を通して、仕事へのやりがいや楽しみを実感し、どんなライフステージでも活躍できる企業・社会となって、本当の意味での充実した人生に繋げる「生き方改革」に繋がっていって欲しいと思っています。
「この会社に居て良かった」「この会社の未来が見えた」「仕事に対する見方が変わった」といった声を聴くと、やっていてよかったな、と思えますし、これからもそういった企業を増やすお手伝いをしていきたいと思っています。
フォトギャラリー
取材を通して感じたこと
仕事が楽しい」と思える職場環境づくり
たくさんの組織をご覧になってきているコンサルタントのお二人の言葉にはとても重みがありました。
人生の多くの時間を「職場環境」に費やすことが多い中、「仕事が楽しい」と思える人が増えることはとても大切だと思いますし、経営者としても持続可能な会社経営のためにそう思える人材を増やすことは大切な経営戦略だと思いました。
また、社内の改善はすぐに進むものではなく、数年掛けてようやく成果が上がるものだそうです。
改善のポイントはただ残業をなくすだけではなく、経営者が長期的な視点に立って従業員の自律的な発展に取り組める施策を打てるかどうかという事だそうです。
国を挙げての「働き方改革」が叫ばれる中、沖縄が持続可能で素敵な社会になるために、労働環境の改善や組織活性化が必要な時期になってきていることを感じさせられました。
沖縄で「仕事が楽しい」と思える職場環境づくりに取り組んでおられるLife is Loveさんの取り組みにエールを送ります
[ 今井 ]
ストレスのないワークライフ
今の日本では働き方改革が叫ばれる中、労働環境が良くなってると思っていました。しかしながら、お二方のこれまでのコンサルティングしてきた経験のお話をお聞きして、働き方改革に積極的な取り組みがあっても、改善を始めてすぐ成果が出るわけではなく、約3年くらいはしっかり取り組まなくてはならない事を知りました。
経営者、従業員が楽しく仕事ができイキイキとした環境になるようサポートするコンサルティングのお仕事は、大変なお仕事で働き方改革が進化していくにあたって必要不可欠な存在だと感じさせられました。
[ 長田 ]
最近更新されたSDGs事例紹介
おからを活用した製品開発
製造業
・おからを使った代替肉の製造・販売
・おからを使ったグラノーラの販売(イベント時のみ)
・牧場と提携し循環型の農業支援やジェラート作り
・ピッチコンテストでの最多マッチング賞獲得
・食品のアップサイクルに関わる企業との意見交換
・島ぜんぶでうむさんラボ賞を獲得!
地域の暮らしと水のつながりの向上を目指して
研究プロジェクト
持続可能な自然環境の維持と貢献に努めるべく、沖縄県をメインに日本国内外の水質調査等を通じて、陸から海へ循環する水の
水質改善や水不足の解消に関する取り組みを行っています。
また、地域住民への水についての指導やワークショップも行い周知活動をしています。
周りと違っても大丈夫!
NPO法人
・LGBTQ・性の多様性の啓発活動
・小中高特別支援学校児童生徒対象LGBTQ・性の多様性講演会、教職員研修、行政・大学・企業・保護者・一般対象等の講演会
・LGBTQ・性の多様性に関する授業作り・普及
・レインボーハートグッズ商品企画・普及
・LGBTQ・性の多様性に関する児童生徒、教職員等の相談対応