2021年4月23日(金)に、JICA沖縄にて
『スリランカ「きぼう学校」とオンライン情報交換会』イベントを見学させていただきました。
これは、沖縄の企業とNGOをマッチングしてSDGsを進めていくプロジェクトである「おきなわSDGs国際ネットワークプロジェクト」の一環のイベントです。
主催は特定NPO法人日本スリランカ次世代育成サポート。
名前の通り、スリランカの青年を育成するための法人です。
理事長のディリープ・チャンドララール氏は、沖縄大学の名誉教授でもある方で、母国スリランカの次世代の発展を願われています。
スリランカって?
スリランカ(旧称:セイロン)は、インド南部に浮かぶ島国です。
面積は台湾の2倍ほど。
島という点では沖縄と共通するところがありますね。
日本では、セイロンティーとして紅茶で有名かもしれません。
個人的には、スリランカについて紅茶のイメージしかありませんでした。
そんな島国のスリランカを調べてみると、実は沖縄と同様、悲しい戦乱の歴史がありました。
それも、悲しいことに国内での内戦です。
近年でも、1983年から2009年までなんと26年間にわたって内戦が続いていたというのです。
これは、スリランカが多民族国家であるがゆえの、民族紛争でもありました。
内戦の影響もあって政情不安定なスリランカが、より安定した国家となるために、次世代の青年たちの成長が願われています。
Kibou Internatinal College きぼう学校について
特定NPO法人日本スリランカ次世代育成サポート理事長のディリープ・チャンドララール氏の尽力によって、今年2021年1月にスリランカのクルネガラ県に開校した、新しい私立の学校です。
学校名にも「希望」という日本名が入れられて、日本の教育要素も取り入れた学校である、現在は先生が7名、生徒は幼稚園生・小学1年生にあたる小さな子供たち約40名の小さな学校ですが、近いうちに青年向けのIT教育を含めたビジネスクラスも開設される予定です。
チャンドララール氏によると、スリランカに於いて私立の学校設立は容易ではなく、資金のみならず、政治的な許可を得るだけでも1年以上掛かったそうです。
改めて、沖縄から国を支えるプロジェクトがなされていることに驚きましたし、チャンドララール氏の取り組みに敬意を表します。
そんな苦労して設立された学校だけに、これからの期待が膨らみます。
今回のイベントの方法と目的
日本とスリランカの『Kibou Internatinal College きぼう学校』をZOOMを使ってオンラインで接続し、学校の先生たちと教育に関する課題などの情報交換を行います。
スリランカの『KICきぼう学校』では、地域との交流、他民族交流、日本を含む海外との交流の場としても活用されることが期待されています。
多様な人々がお互いの文化を理解すること、相手を思いやれる想像力、想いを形にしていく行動力を育むこの学校を支援することで、平和な社会を実現するための次世代育成を目的としてます。
また、6月に予定しているスリランカ大使を迎えての講演会へ向けたプレイベントでもあります。
沖縄から送った黒糖菓子
文化交流の一環で、沖縄企業のオキコ株式会社の協力を得て、事前にスリランカに沖縄黒糖を送っていました。
スリランカにも黒糖はあるものの、沖縄の黒糖とは別物のようで、現地のみなさんは初めて食べた沖縄黒糖の味に感銘を受けて、以下のようなメッセージを送ってくれていました。
スリランカの教育事情をきいて
スリランカの教育事情は日本と同様の部分もありますが、日本と違う部分もあります。
スリランカの7割は仏教徒で、お坊さんがスピーチをする映像があったのも印象的でした。
[きぼう学校の課題]
・施設や遊具、教材など外的環境がまだまだ不足している。
・日本では、読み書きは当然としてそれ以上に体験型の授業が人気がありますが、スリランカの親は読み書きを重要視している。
・教員が学校運営方針とは違う見解を持っていることも多く意見のすり合わせにも時間を要する。
・教員と保護者の相互理解が足りていない。
など
国の事情によって、教育で求められることも違ってくるのは当然とは思います。同時に地域の事情に合わせつつ、将来を見据えた教育環境を整えていくことが大切なのだろうと感じました。
視野を広げるために
些細なことでも国際交流
黒糖のような、沖縄では当たり前のようなものであっても、スリランカではとても喜ばれるものがありますし、互いの文化を理解するキッカケにもなります。
お菓子のような小さなものであっても国際交流は色々な意味でとても大切なことだと感じました。
また、国際的なコロナウィルスの影響もあって、オンライン会議ツールが発達し身近になったことで、気軽に国際交流がしやすい時代にもなったと感じました。
国境を超える交流で、グローバルに考える
SDGsの推進のためには、【(自分だけがよければ)といった、独善的な考え】では進めることはできません。そのわがままで【視野の狭い考え】が、むしろ周囲を傷付け、環境を破壊し、持続不可能な社会を作ってしまうことになり、今の地球的な課題となっています。
そのために、【視野の広い考え】を持ち、広い心を持った人たちが増えていく必要があると思います。
SDGsの理念は、「Think Globally,Act Locally(地球規模で考え、足元で行動する)」です。
しかしながら、「地球規模で考える」ことを具体的にどれだけできていたでしょうか?
正直、私自身は他国の事を知らなすぎることを知りました。
些細なことを通してでも国際交流をして、海外のことも知っておくことがSDGsを推進できる【視野の広い考えをもった人間】に近づけるのだろうと思いました。
また、グローバルに考えることで、結果的に地元沖縄の課題を解決する糸口が発見される可能性があるのではないかとも思いました。
Be Kind OKINAWAでは、これからも視野を広げる情報を発信出来たらと思います。
(文責:今井 孝広)
カメラマンより
水事情から進化してきたスリランカ
チャンドララール氏は大学でお世話になった恩師でもあり、私が在学中スリランカのライフライン事情や、教育事情の現状を教えて頂き、そこから興味を持ち、スリランカのプロジェクトにほんの少しだけでありますが参加しました。当時プロジェクトに参加した時は生活で最も必要な水道が内戦が終結してから発展しておらず、安心して安全な水が飲めるようにしようと「スリランカ命の水プロジェクト」が始まったばかりで、約3年かけてプロジェクトが成功しました。
そして今ではスリランカの子供たちに学べる環境を作ろうと「希望」を与えるために、学校名にも「KIBOU」と日本名を入れ日本の教育要素も取り込んだ学校としてこれからもっとグローバル化に進んで沖縄とスリランカの交流が深まっていく姿を見れてとても感無量です。
Be Kind OKINAWAでも地元沖縄の課題を解決できるように広い視野と親切な心を持って情報を発信して多くの皆様に知ってもらえるようにしていかなきゃなと思いました。
(文責:長田 敦希)