沖縄の貧困の実態
現状
沖縄の最低賃金は令和5年10月8日に5.0%引き上げられ2024年現在で896円と年々上がってきてはいますが全国的に見ると実際はワースト1の賃金です。
さらには、過去沖縄県は1人当たり県民所得は最下位、非正規雇用率が1位、失業率が1位、給食費未納率が1位、子どもの貧困率が1位など、さまざまな貧困の指標となるデータで残念ながらワーストを記録している現状があります。
何が原因なの?
沖縄の貧困の原因は、経済構造と社会構造が複雑に絡み合い、さまざまな原因があることを理解しなければなりません。
若い出生率と離婚率
沖縄県は、若い出生率、若年出産率、離婚率がそれぞれ全国1位です。つまりこれは離婚の多くが「子連れ」であることを意味しており、若年出産、若年結婚、若年離婚を通じて貧困世帯が生み出されています。
そして若年結婚は離婚率も高く、早すぎる出産は若い親から高等教育の機会を奪ってしまい、生涯賃金を大幅に引き下げる原因になるため、貧困を子どもの世代に引き継ぐことになっています。
生活コスト
沖縄県は物価が安いとよく言われますが、その主な指標として家賃などの「住居」に関してデータが提示されることが多く、実際に普段の暮らしで必要な「食料」や「水道・光熱費」を見てみると、所得が全国平均の3分の2に過ぎないことを考えると、むしろ高いと悲鳴をあげるべき金額になっています。
沖縄県外で生産された食品は船や飛行機で運搬される際の輸送費などと比例して高くなり、本土では1,800円で買えるお米5kgを 沖縄では2,300円で購入せざるを得ないとすると、地元農産物が安価に買えるからといって生活が楽になるわけではないという現実があります。
よって収入が低いにもかかわらず生活コストが高いため、必然的に貧困になってしまいます。
また、産業構造にも原因がある可能性が高く、沖縄は観光客が多い県でもありますが
それによってサービス業が盛んになっています。
沖縄のサービス業は非正規雇用が多く賃金も安いことから、それも一つの原因となっている可能性が高いと思われます。
解決への動き
沖縄県では、子ども・子育て支援法に基づき、令和2年度から5年間を計画期間とする「黄金(くがに)っ子応援プラン」を策定しています。
国や県、市町村、その他社会のあらゆる分野の構成員と協働し、「誰一人取り残さない、多様性と包括性のある社会」、「子育てしやすい社会」の実現を目指すとされている。
支援するステージごとに合わせた支援方法がとられており、幼稚園や保育園における体制の改善などが行われている。
また、市町村への幼稚園型一時預かり事業の促進を行うことで、保護者が働きやすい環境を整える取り組みも行われている。
さらに、「沖縄子どもの貧困緊急対策事業」では、家計が苦しい非課税世帯に対して、母親の就労先への家庭状況の説明や、子どもの就学援助の申請サポートを行なったり、
子どもの居場所を確保するために、食事の提供や生活指導、学習支援などができる場所を提供している市町村もあります。
また、NPO法人や非営利団体も、生活や教育といった支援に広く取り組んでいます。
学習支援のために、大学生や高校生などのボランティア講師による専用教材を使った個別学習指導を行っています。
社会経験の不足やコミュニケーション能力の育成を目的とした課外授業、自己肯定感を向上させるための有資格者による無償個別カウンセリングやメンタルケアを
行っているところもあります。
さらに両親が共働きで、1人で過ごさなければいけない子どもや、孤食になってしまう子どもたちのために1日中遊んで、
みんなでご飯を食べられる「こども食堂」も普及してきています。
子どもの貧困
現状
親に安定した収入がない、もしくは収入が低いなどの理由で、その子どもも貧困状態に陥ってしまい、就学や就労が満足にできなかったり、特に酷い家庭では、食事もしっかり食べられず必要なものを揃えられないといった状況に陥っています。
平成28年度から開始した沖縄子供の貧困緊急対策事業による取組などもあり、子育て世帯に占める困窮世帯の割合(沖縄県調査※)は29.9% (平成27年度)から23.2%(令和3年度)に改善しつつあるものの、依然として下記の指標のとおり、全国と比較して深刻な状況にあります。
沖縄県が行ったアンケートでは、貧困層の家庭では食料や衣料が買えなかった経験や、電話料金などの滞納、電気・ガス・水道を止められた経験がある世帯が多くあり、また、非貧困層でも一定の割合でそのような経験がある世帯があることが分かっており、沖縄県全体で収入が不安定であることが伺えます。
さらには、貧困家庭で育ったがために十分な教育を得ることができずに、大人になっても収入が安定した職業に就くことが難しい、という貧困の悪循環が起こりがちであることも大きな問題となっています。
何が原因なの?
沖縄県の社会構造および経済構造により、親の低収入や収入自体の不安定さと生活コストの高さから貧困に陥っています。
特に沖縄県は日本一離婚率が高く、ひとり親で苦労して育てている家庭が多いのは大きな課題です。
合わせて起きている原因としては、「貧困である状態」について明確な定義がなかったことから、その把握が遅れ、子どもの貧困対策の必要性や目標の設定、必要な施策などの議論といった共通見解が生まれにくいという状況があります。
解決への動き
沖縄県では、子ども・子育て支援法に基づき、令和2年度から5年間を計画期間とする「黄金(くがに)っ子応援プラン」を策定しています。
国や県、市町村、その他社会のあらゆる分野の構成員と協働し、「誰一人取り残さない、多様性と包括性のある社会」、「子育てしやすい社会」の実現を目指すとされている。
支援するステージごとに合わせた支援方法がとられており、幼稚園や保育園における体制の改善などが行われている。
また、市町村への幼稚園型一時預かり事業の促進を行うことで、保護者が働きやすい環境を整える取り組みも行われている。
さらに、「沖縄子どもの貧困緊急対策事業」では、家計が苦しい非課税世帯に対して、母親の就労先への家庭状況の説明や、子どもの就学援助の申請サポートを行なったり、
子どもの居場所を確保するために、食事の提供や生活指導、学習支援などができる場所を提供している市町村もあります。(まだ多いとは言えませんが、自治体による支援の手は確実に広がっています。)
また、NPO法人や非営利団体も、生活や教育といった支援に広く取り組んでいます。
学習支援のために、大学生や高校生などのボランティア講師による専用教材を使った個別学習指導を行っています。
社会経験の不足やコミュニケーション能力の育成を目的とした課外授業、自己肯定感を向上させるための有資格者による無償個別カウンセリングやメンタルケアを
行っているところもあります。
さらに両親が共働きで、1人で過ごさなければいけない子どもや、孤食になってしまう子どもたちのために1日中遊んで、
みんなでご飯を食べられる「こども食堂」も普及してきています。
世界中の飢餓の人に沖縄ができること
現状
世界では9人に1人、約8億者人々が飢餓に苦しんでいます。
また、世界では4人に1人が深刻な栄養不足状態なのです。
開発途上国とされている国々に飢餓状態の人々が多いことがわかります。
また、飢餓に苦しむ約75%の人々は、開発途上国の農村部に住む貧しい農民なのです。
世界の食料安全保障と栄養の現状
2018年の世界の飢餓人口 | 8億2,160万人(9人に1人) |
アジア | 5億1,390万人 |
アフリカ | 2億5,610万人 |
ラテンアメリカ・カリブ海地域 | 4,250万人 |
何が原因なの?
飢餓が起こる原因には、自然災害、紛争、慢性的な貧困があります。
自然災害が起こることで農作物や田畑が被害を受け、家や仕事などの生活基盤も失われ、経済的にも物理的にも食料を手に入れることができなくなり、人々の栄養状態が悪化してしまうのです。
また、紛争が起きることで家や農地など全て捨てて避難しなければなりません。
避難せず残ったとしても危険なので農作業や仕事をすることができず、どちらにしても食料の確保が困難により、飢餓状態に陥ってしまいます。
また、貧しい農民は農業を行うための土地や水、種などを確保する資金が無いために自給自足が困難で、貧困や飢餓から抜け出すことができません。
子どもに教育を受けさせられないために、貧困の連鎖を断ち切ることができないという問題があります。
深刻化する紛争地域の飢餓より
人口の4分の1以上が 緊急の飢餓状況にある国 | 人口に対する 飢餓状況にある人の割合 | 緊急の飢餓状況にある人数 |
イエメン | 60% | 1,700万人 |
南スーダン | 45% | 480万人 |
シリア | 33% | 650万人 |
レバノン | 33% | 190万人 |
中央アフリカ共和国 | 30% | 110万人 |
ウクライナ | 26% | 120万人 |
アフガニスタン | 25% | 760万人 |
ソマリア | 25% | 310万人 |
解決への動き
沖縄や日本では飢餓で苦しんでいる人はほとんどいませんが、世界中には飢餓で苦しんでいる人がたくさんいます。
この問題に対して向き合う必要があると思います。
例えば、フードロスなどの問題を解決することができれば余った食材を飢餓で苦しんでいる人達に渡すことができるかもしれません。
また、農業が盛んな沖縄から農業に詳しい人を派遣して現地の人達に農業を教えることができれば、自給自足の生活ができるようになり、少しでも多くの飢餓に苦しむ人を減らせることができるかもしれません。
こういった課題に取り組むことで、1日でも早く飢餓で苦しむ人々を救えると思います。
沖縄の生活習慣病と肥満について
現状
沖縄県は2021年度県民健康・栄養調査の結果をによると、20歳以上の肥満者の割合は男性が41.6%(全国平均33.0%)女性が24.8%(全国平均22.3%)とどちらも全国平均を上回っています。
また、大人の肥満も問題ですが、深刻なのは子供の肥満です。
実に4人に1人の中学生が境界型糖尿病、つまり糖尿病予備軍に該当しているという衝撃的なデータもあります。
肥満は、様々な生活習慣病を引き寄せます。
現に、沖縄の「糖尿病死亡率」は男性6位、女性1位となっており、これも肥満人口の増加が後押しをしていることは間違いないでしょう。
何が原因なの?
1つ目は、お酒によるアルコールの過剰摂取です。
アルコールを過剰摂取すると糖質の過剰摂取にもつながり、それが糖尿病にもつながります。
また、沖縄は「肝疾患の死亡率」が男女共に1位となっており、全国平均の約2倍の死亡率になっています。
2つ目は、食の欧米化です。
戦前、沖縄の人が食べてた食事は主食はサツマイモで、緑黄色野菜やゴーヤ、色々な大豆製品もよく食べ、豚肉などの肉や魚も食べるが、たいていは菜食中心の食事をしていたそうです。
そのため伝統的な沖縄の食生活は、抗酸化物質など体に欠かせないビタミンとミネラルが豊富で、カロリーは低い。
このような食生活から沖縄県民の平均摂取カロリーは健康な成人の摂取基準を約11%も下回っていたそうです。
このことから昔の沖縄の人は自然にカロリー制限をしていたことがわかります。
戦後、沖縄にアメリカ軍の基地ができ、ファーストフードなどの食が進出してきました。
そこから炭水化物が食の中心になったことから摂取カロリーが増加し、肥満の原因に繋がっているのではないでしょうか。
3つ目は、運動不足です。
沖縄の男性の1日の平均歩数は7655歩で、女性の1日の平均歩数は7091歩です。
全国平均と比べると男性が416歩少なく、女性も301歩少ないです。
沖縄は車社会で運転免許を取ると、いつでも自動車を利用してしまい、歩くことが減っているのが原因である。
また、高校卒業後に運動習慣がなくなってしまった人が多く、運動習慣のある人は約3割であり、特に20代~40代は仕事や結婚などで家庭を持ったりなどで忙しく、運動する人が少ない傾向にあります。
|
全国 | 沖縄 | 差 |
男性 | 8071歩 | 7655歩 | -416歩 |
女性 | 7392歩 | 7091歩 | -301歩 |
解決への動き
肥満にならないように意識するだけで、糖尿病や心疾患などあらゆる病気を予防することができます。
肥満にならないように意識しなければいけないことは、
①お酒を飲みすぎない
②炭水化物を取りすぎずバランスの良い食事を心がける
③運動の習慣化や階段を使う、少しの距離なら歩くなどの意識
これらのことを意識するだけで、病気の予防だけでなく、長生きにもつながります。
子どもたちの進学問題
現状
子どもたちの進学問題
沖縄県内の高校生が大学進学率が全国に比べて低いと数年前から問題視されています。 実際に沖縄県の高校卒業後の大学進学率は2022年3月の調査結果では44.6%となっています。※文部科学省『令和4年度 学校基本調査』 これは都道府県の中で一番低い数字となっています。 全国で最も進学率が高いのは東京都で71.5%で沖縄県と比べると26.9%も大学進学率に差が生じています。
このまま進学率が低下していくと
①親が低所得の影響で子供たちが塾で高度な学習内容を学べない環境になります。
↓
②進学を諦め地元に就職するが給与が安く、生活で精一杯になります。
↓
③低所得のまま結婚し子供ができ、①に戻り悪循環を生み出してしまうのが殆どだと言われています。
このような貧困による悪循環が、子供の教育や進学に良くない影響を与えてしまっています。
沖縄 子供の進学問題
何が原因なの?
沖縄県の大学進学率が低いのは学力に問題があるとイメージする人が多いかもしれません。それも一つの原因にはなりますが、 それ以外に環境の違いが大きく影響していると思われます。 県はアンケート調査した結果、親の学歴が低いと同時に親の低所得によって生活に支障をきたし、子どもの進学に掛かる費用が払えず子どもの進学を断念してしまっている現状です。 また、県内の大学は数少なく、県外大学に進学となる事が多いため、経済状況から進学を余儀なく断念するケースも見られます。
解決への動き
進学率の低下を防ぐために、経済的理由により修学が困難な学生向けに県内の大学では無利子の奨学金や兄弟姉妹で同じ大学に進学する場合、授業料減額制度を導入しています。
また、塾や予備校がない離島ではPCやタブレット等を使用してネットオンラインで学習するオンライン塾を導入を各市町村が次々と導入を始めているそうです。
さらに、沖縄県は米軍基地が近くにあることから、基地内で英語力を上げるために中学生〜大人まで無償で英会話教室などを開いたり、基地周辺の保育園などに訪問し異文化交流会などして質の高い教育を行っているそうです。
オンライン塾(イメージ)
沖縄県の高校受験制度
現状
沖縄県は残念ながら都道府県での比較で学力が低水準にある、ということが課題の一つになっています。
文部科学省が小中学校で行っている2020年度の全国学力学習状況調査によると、沖縄県の学力ランキングは47都道府県中、42位という結果でした。
沖縄県内の中学校における高校受験制度について見てみると、比較的 学力よりも内申重視の傾向が高いと感じます。
学生が中学3年生になって、いざ進路について考えて、行きたい高校が見つかっても、学校選びに内申点の影響が高いため、内申点が低い学生に関しては与えられるチャンスが限られてしまいます。
そのため現状では、『中3の受験生期間の一年間で行きたい高校のために学力を伸ばそう』とする学生よりも『今の内申点で行ける高校を探そう』とする学生の方が多くなりますし、先生からもそのように指導されます。
何が原因なの?
高校の受験制度は都道府県によって違いがあります。
沖縄県の公立高校合格配点の仕組みは内申点と学科試験の比重が 内申:学力=4.5:5.5 ~ 4:6の範囲となっています。
また、内申点の中1~中3の配分は、全国的にみると中1や中2の内申点は無視して中3の内申点だけを加味するところや、中3の内申点の比率を高くする都道府県が多い中、沖縄県は中1、中2、中3の比率が全て同等です。
そのため中学3年生になってから行きたい高校が決まっても、変えることが不可能な過去の成績(1、2年の内申点)もそれなりの影響を受けることになります。
「内申点」の割合が高いほど、高校受験に向けて学力を伸ばす努力を怠る要因にもなってしまいます。
そのため、入試制度自体を「内申点重視」よりも「学力重視」にすることで学力向上に向けて努力する学生が増えて、沖縄県自体の学力を高めることができると考えられます。
解決への動き
そもそも一昔前の沖縄県は、今よりもっと内申点が重視されていて「学力:内申=5:5」の学校が多い状態でした。
文部科学省の学力検査においても、都道府県ランキングで最下位の期間が長かったので、県としては学力重視に切り替えてきているようです。
県の教育庁より、2022年度の県立高校入試から、既存の学力検査が必要なかった「推薦入試」が廃止され、学力検査も必要な「特色選抜」制度に変更されることが決定し、全ての受験生に学力検査が課されることにもなりました。
県の公立高校で最も偏差値が高いとされる開邦高校は内申よりも実力が重視されています。
また国立沖縄工業高等専門学校もほとんどが学科試験の点数で合格が決まります。
学力検査問題は記述形式が増え、年々難しくなっており、さらに内申点よりも学力検査を重視する高校も増えてきています。
流れとしては学力重視に向かっているようなので、沖縄の若者の学力が向上し、その効果として将来の沖縄の発展に生かされていくことを願います。
ジェンダー差別について
現状
ジェンダーって?
生物学的、身体的な性別の区分をセックス(sex)と呼ぶのに対して、社会的意味合いから見た男女の性区別をジェンダー(gender)と言います。
例えば「男は仕事。女は家庭」というように考えている人がいます。
しかし世の中にはリーダーシップを発揮して忙しく働く女性もいますし、料理や掃除好きで育児を積極的に行う男性もいます。
ジェンダー差別は、このような「男性・女性はこうでなくてはいけない」といった、社会的・文化的背景による性差別や偏見のことを言います。
特に女性蔑視的な差別が人権侵害を招いている国もあり、問題視されています。
現状
本では、男性は仕事、女性は家庭といった性別役割分担意識調査※では、賛成が48%、反対が52%と、約半々の割合で指示されています。この数値は他の国と比べて日本はかなり高いほうです。
※内閣府男女共同参画局、男女共同参画社会の形成の状況より「固定的性別役割分担意識の国際比較」
「男性だから」「女性だから」という前置きがついて、服装や髪型、ファンション、職業、言葉遣い、家庭や職場での役割や責任の分担だけではなく、人間の心の在り方や、意識、考え方、コミュニケーションまでに影響を与えています。
世界経済フォーラムが公表した、「ジェンダーギャップ指数2020(右表)」では、経済、政治、教育、健康の4つの分野のデータから評価され、0が完全不平等、1が完全平等を示しています。
日本は総合スコアで見ると、153ヵ国中121位でした。
なお、各4分野ごとに見てみると、政治分野の数値が一番低い結果となっています。
日本の分野別ジェンダーギャップ指数2020
昨今では、2021年2月に日本オリンピック委員会にて、当時の会長が、「女性の多い会議は時間が掛かる」といった意味合いの発言をしてしまったことで、世間から女性蔑視発言だとパッシングを受けて会長を辞任する、といった事態もありました。
何が原因なの?
原因は様々ですが、主な原因としては下記が挙げられます。
生物学的役割の違い
男女は身体的、行動的に異なる傾向を示されます。
基本的に遺伝子の違いで身体的な生殖器の違いで分かれますし、考え方や行動にも傾向が現れます。
しかしながら、この違いは「遺伝子」のみでは決定されるわけではなく、社会的、認知的、情動的要因などによる「脳の働き」による影響もあると考えられています。
宗教的な問題
キリスト教では神が男性であるというイメージが保持され、イスラム教は女性は男性より身分が低いとされており、女性の価値をないがしろにするあまり、女性への暴力や経済的な自立を妨げる要因となっています。
また大乗仏教では、仏陀は男性であるとの主張が法華経の一節の解釈から生じており、女性は成仏しないが来世に男性として輪廻すれば、成仏する可能性があるとの考えが一部存在しています。
また、ヒンドゥー教のダウリー(結婚持参金)という花嫁の実家が花婿に持参金や家財道具を送る習慣があります。しかしながら、その金額が莫大で、花嫁の家族が払えない場合は、自殺につながるようなひどい扱いを受けることも多くあるようです。
(現在ダウリーは法で禁止されていますが、インド北部では風習が今も色濃く残っているそうです)
伝統的な社会構造・風習
日本も強い傾向にありますが、世界的にも家事は女性がするものという考えがあり、こうした習慣が女性の社会進出を妨げる要因になっています。
特に貧しい国々では男女の役割分担がはっきりしており、女性が薪や水の運搬、料理、育児など全ての家事の負担を担うので、それだけで1日が終わります。
そのためこのような地域では女性は学校教育や職業訓練を受けられず、雇用の機会があっても働く時間が作れない問題が生じています。
逆に男性は社会に出て稼ぐことが使命とされ、その能力のみで男性としての価値を判断されるといった傾向も強く残されています。
家庭内・家庭外での教育の欠如
前述でもありますが女性は家事、男性は仕事といった押しつけが当たり前のようになっていたり、違和感なく受け入れている家庭もあります。更にそれは子供にも影響します。
男の子・女の子はこうしないといけないといった刷り込みが強く行われることで、逆に差別や偏見が生み出される温床になってしまうことがあります。
こういった性区別に疑問を持つ機会=教育がないことが差別や偏見の傾向を高めてしまうことに繋がります。
ジェンダー不平等の問題点
- 政治・経済共に重要な意思決定への女性の参加率の低さ
- 男女の賃金格差
- 社会的役割に関する偏見
- セクハラ・モラハラ問題
- LGBTなど少数派への差別・偏見
解決への動き
日本は他の国と比べるとまだまだ遅れていますが、少しずつ取り組みも増えてきています。
企業では女性メインのチームや女性を幹部社員に登用する動きや、女性のみのチーム編成で女性向けの商品をつくったり、育児を行う男性にも育児休暇が取得できる仕組み作りが始まっています。
政治の分野でも、まだ人数は少ないものの、一昔前と比べれば女性の議員や大臣、知事も珍しくなくなってきています。
まずは一人一人がジェンダーによる差別や偏見について、改めて知ることが大切です。
同時に、一人一人の個性を認め、活かしつつ、それぞれが助け合える環境を身近なところから築いていきたいものです。
性的マイノリティ(LGBTQ)について
現状
マイノリティとは「少数派」という意味ですが、性的マイノリティとは同姓が好きな人や、生まれつき自分の性に違和感を覚える人、あるいは性同一性障害などの病気とされている人々のことを言います。
レズビアン(女性の同性愛者)、ゲイ(男性の同性愛者)、バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(法的性別とは別の性別で生きることを望む人)、クエスチョニング(自らの性のあり方について、特定の枠に属さない人、わからない人等)の頭文字をとって、LGBTQとも呼ばれています。
「異性を愛するのが普通だ」「心と身体の性別が異なるはずがない、性別は男と女のみだ」と考える一般的な人からすると少数派であるがゆえに、理解されずに苦しんだり、差別や蔑視され、排除されてしまうことが多いことも問題視されています。
また、同性愛と性同一性障害は別物であるため、問題が複雑化している事もありますが、いずれにしても個人の人権は守られる必要があると言えます。
性的マイノリティに関する問題点
- カミングアウトによる偏見、差別
- 就職活動における不利益
- 男女に区別された施設を利用する際の心理的負担
- 異性婚と同等の権利を得られない
何が原因なの?
この問題は、未だに議論をされ続けている深い問題と言えるでしょう。
ヒトの自然の営みとは
何が自然か?と考えると、もちろん男性と女性の両性が結婚をし、子どもをつくり、家庭をつくることが自然と言えます。これは、生物界で考えるとオスとメス、植物でも雌株や雄株などがあり、世の中の主流がペアシステムで成り立っていることに由来し、人間もまたヒト科という生物の中の一種族であることから、男性と女性が結び付き、子を生み育てるということが自然と考えられます。
また、その自然の中で社会的秩序を保ちながら、現在の一夫一妻制度が人間社会に根付いてきて、それが幸福の重要な要素を占めると考えられてきましたし、秩序を保つための伝統的な社会文化であると思われます。
「自分たちと違う存在」を差別する心
ヒトは、自分の身の回りの大多数と違う異質な存在に対して、無理解であるほど、差別の心が生じやすくなります。
肌の色が違うといって、人種差別をしたり、歴史的な敵対国で生まれたという理由で、○○人は敵だと決めつけたり、手足のない障害者を蔑んだりと、外見や国籍、民族、家柄、職業、性別や年齢、思想や能力や障害・病人に対してなど、ありとあらゆる対人関係で差別や偏見が生まれます。
逆の立場になればわかることですが、私たちが日本人というだけで差別してくる人たちもいますし、一昔前までは「沖縄出身」というだけで内地の人たちから差別を受けていた時代もありました。
しかし、それは正当な差別でないことは分かり切ったことであり、少数派であるがゆえの無理解からくる差別であると分かります。
個々人への理解が深まれば、差別や偏見は和らぎます。
性的マイノリティの方々も、自分ではどうしようもない心の状態となってしまって悩み、傷ついている人たちもいます。
そのような人たちもいる、ということを理解しておくことは大切なことだと思います。
家族の絆の希薄化?
近年価値観が多様化したことによって、本来幸福の源泉であるはずの夫婦の絆が薄れ、家庭が崩壊してしまう傾向が強くなっていると言われています。
令和元年のデータでは、日本の年間の婚姻件数は59万9007件で、離婚件数は20万8496件です。離婚件数が婚姻件数のおよそ3分の1となっています。
(※ 飽くまでこの1年間の件数比較で、結婚した夫婦の3分の1が離婚するという意味ではありません。)
ちなみに都道府県別の離婚率は、残念ながら沖縄県はワースト1位です。
本来の家庭で受ける愛情を受けられずに、後天的に愛への価値観が変わってしまうケースも指摘されています。
また、妊娠期のストレスが多い女性から同性婚者が生まれる確率が高いという統計結果もあるようです。
人間関係の愛情に対して、改めて考えるべき時代になっているのかもしれません。
解決への動き
性的マイノリティへの配慮のために、学校ではジェンダーレス制服が登場しています。
ジェンダーレス制服とは女子生徒がスカートのみではなく、パンツスタイルの制服を選べるようになり、採用校は増加傾向にあります。
東京ディズニーランドでは、園内のアナウンスを変更しました。以前は、
「Ladies and Gentlemen, Boys and Girls」
でしたが、これが廃止となり、
「Hello Everyone」に変更されました。
このような動きは日本航空JALでも行われていますが、更に拡がってくると思われます。
既に世界の約20%の国や地域が、同性婚あるいは登録パートナーシップなど同性カップルの権利を保証する制度を持っています。
北欧のフィンランドでは、既に1万人の子どもがLGBTQ家族で育っており、差別をなくした「多様性」を受け入れる体制がかなり整っています。
今や時代は変わりつつあると言えるでしょう。
確かに異性婚が増えることが自然と言えますし、伝統的な家庭が増えることが望ましいと考える意見が多いことは分かります。
しかしながら、たとえ同性同士であっても信頼できるパートナーとして認められる社会の方が、多くの人が生活しやすく、より良い社会になるという意見もあります。
SDGsは「誰一人取り残さない」ということを原則としています。様々な立場の人たちを配慮した多様性を受け入れる社会がより求められていると言えるでしょう。
関連情報
発がん性物質が水源を汚染
現状
発がん性物質が水源を汚染
以前から米軍基地周辺の河川や浄水場に発がん性が疑われている有機フッ素化合物が高濃度で検出されており、基地への立ち入り調査を求めても米軍が応じずに原因不明の期間がありました。
沖縄の水源を汚染している有機フッ素化合物は、PFOS・PFOA・PFHxSなどと呼ばれています。
いずれも環境中でほとんど分解せず、生物の体内に蓄積して、発がん性が指摘されています。
ストックホルム条約で国際的に製造・使用が制限されていて、日本国内でも一部例外を除いて原則的に使用・製造が禁止されています。
住民の血液調査結果 人体に汚染物質
2019年に、有機フッ素化合物による影響を調べるため、宜野湾市の住民の血中濃度が検査されました。
比較対象として同様に南城市の住民の血中濃度も検査されました。
調査結果では、水汚染による人体侵害の実態が浮かびあがりました。
全国平均 | 南城市 | 宜野湾市 | |
---|---|---|---|
PFOS | 3.5 | 6.6 | 13.9 |
PFOA | 1.5 | 2.7 | 3.3 |
PFHxS | 0.3 | 3.9 | 16.3 |
※全国平均は2016年環境省「化学物質の人への曝露量モニタリング調査結果について」より
何が原因なの?
2020年4月に、米軍普天間飛行場から近辺の河川に大量の泡消火剤が流出する事件がありました。
地元宜野湾市では、河川や空中にも白い泡が拡がる事態となったため、米軍も調査に応じました。
調査の結果、成分にPFOS・PFOAなどの有機フッ素化合物が含まれていたことがわかりました。
米軍基地からの泡消火剤等が、水質汚染の大きな原因であったことが判明した事件でした。
解決への動き
基地排水等による公共用水域への水質汚濁については、流域の下水道への接続やし尿処理施設の整備などによって、年々改善されてきています。
泡消火剤流出事件の後は、米軍も泡消火剤を有機フッ素化合物の含まない消火剤に交換するなど対処したようです。
国と沖縄県では、監視のために基地周辺の水域を定期的に監視調査(水質、底質、魚類)を実施して、研究所での分析を行っています。
個人ができることは限られているかもしれませんが、いつでも蛇口を開けば安心した水が飲めるとは言い切れないことも意識しておいた方が良いのかもしれません。
脱炭素社会を目指して
現状
電気なしの生活をしている人は世界中にいる
いま、電気のない生活をしている人の数は、世界でおよそ7億3300万人と言われています。
日本の人口が1億2,600万人ほどですから、日本の人口の10倍近い数の人々が電気のない生活をしているということに。
そして、世界の人口は80億2000人ほど。つまり、世界の約10人に1人は電気がない生活をしているということになりますね。
日本にいては考えられない、想像もつかない環境ではないでしょうか。
沖縄は火力発電に依存している
日本で普及しているエネルギーの多くは、石炭や天然ガス由来のエネルギーとなっています。 2022年における日本のエネルギー供給状況を見てみると、再生可能エネルギーの割合は、全体の約22.7%に留まっています。 一方で、石油や天然ガスなどの化石燃料によるエネルギー供給量は約72%と、ほとんどのエネルギーが化石燃料によって生み出されたエネルギーであることがわかります。 現時点で、再生可能エネルギーによって生み出されたエネルギーはとてもわずかである状況です。 「再生可能エネルギー」とは、風力、太陽光、水力、地熱、バイオマスなど、環境由来の持続可能なエネルギーを指しており、 二酸化炭素排出量を減らし、環境への負荷を軽減するためにとても重要な役割を果たします。
沖縄全体の9割以上は火力発電が占めています。さらに発電設備の多くが石油を燃料に使っています。
沖縄の取り組みは遅れており、再生可能エネルギーの導入量は全国でも最下位となっています。海に囲まれた地の利を生かした風力発電が一番多いがそれでも全国で25番目であ
る。
何が原因なの?
日本は化石燃料に頼って成長を進めてきたため、脱炭素化が遅れています。
エネルギーの国内供給のうち80%を化石燃料で賄っていますが、そのほとんどを海外から輸入しており国内資源は非常に少ないです。
そのため、オーストラリアや中東などからの供給が停滞すると、短期間で深刻なエネルギー不足につながるリスクがあります。
再生可能エネルギーの普及しない理由は、再生可能エネルギーの発電量が不安定であることや、発電コストが高いこと、再生可能エネルギー用の電力供給システムが未整備であることが考えられます。
特に沖縄では、地理的・地形的な制約や電力需要規模の制約などから、水力や原子力の開発が困難なためエネルギー源を化石燃料に頼らざるを得ない状況下にあります。
解決への動き
脱炭素の事例としては、ビジネスの省エネ化・省人化や再生可能エネルギーの導入、物流システムのCO2削減などが挙げられます。 また、エコカーやエコ家電の購入、公共交通機関の利用など、消費者の努力も脱炭素社会への貢献につながります。 日本政府では、2019年6月11日に「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」を閣議決定しました。 この戦略では、21世紀後半のできるだけ早い時期に脱炭素社会を実現する事、そして2050年までに温室効果ガスを80%削減することを掲げています。 また、国民に向けた「COOL CHOICE」という取り組みも行っています。 これは、脱炭素社会作りに貢献する製品やサービス、ライフスタイルなど、地球温暖化防止に向けたあらゆる賢い選択を促す国民運動の推進です。 国土交通省は、新技術の評価法・基準案等の検討により、実用化を推進しています。 また、事業用の電動車(HV、EV、FCV)について普及段階と車両価格に応じ、購入補助を実施しています。 地方公共団体では、2050年二酸化炭素実質排出量ゼロに取り組むことを表明した地方公共団体が増えてきています。 2023年12月末時点で、1013の地方公共団体が表明しています。 環境省では、地方公共団体の脱炭素化への取組に対し、情報基盤整備、計画等策定支援、設備等導入を一気通貫で支援していきます。 沖縄県においても、脱炭素に向けた世界的な潮流や国の動向を踏まえSDGsの推進を基本理念として、2021年3月に 2050年度 脱炭素社会の実現を目指す方針を掲げました。 県のエネルギー計画として「沖縄県クリーンエネルギー・イニシアティブ(2022年3月改定)」を策定しています。 民間事業に対する補助や税制上の特例措置の活用促進、実証事業成果の他地域への展開、ハワイ州やエネルギー事業者との連携体制の構築などを行い、 民間投資を誘発し、クリーンエネルギー設備の導入拡大を推進しようというものです。 エネルギー問題を解決するために私たち個人にできることは、 省エネ効果の高い家電製品などの利用 太陽光パネルや蓄電池を家庭や事業所などに設置 生活の中でエネルギー消費を節約する(省エネの実践) EV等の次世代自動車の利用 通勤通学に自転車や公共交通機関を使う 地域の再生可能エネルギープロジェクトへの参加し・支援する などが挙げられます。
働き方改革について
現状
沖縄の現状
沖縄企業の残業時間
沖縄労働局の2019年度の調査によると、沖縄の企業の違法残業がかなりの数に上っていることが明らかになりました。
2019年度の1年間に、嫌疑がかかる156の事業所に監督指導したところ、以下のような労働基準関係法令違反が確認されました。
全国と比べて、沖縄は労働基準関係法の違反率が高い
のが現状です。
上表の調査は、飽くまでも労働監督署が調べた範囲の156事業者内の調査であり、沖縄県の全ての事業者を網羅した調査ではありません。
しかしながら、この調査はあくまでも氷山の一角であり、他にも労務環境に関して問題を抱えている事業者が多く存在しているのが現状ではないでしょうか?
ちなみに沖縄労働局によると、定期健康診断で異常を指摘される労働者の割合が沖縄は9年連続でワーストです。
さらに、65歳未満の死亡率が全国平均を上回っています。
沖縄労働基準部監督課によると、「沖縄は中小企業が多く、都市圏に比べ労務管理がおろそかになっている」といった傾向を指摘しています。
引用元:厚生労働省沖縄労働局
何が原因なの?
残業文化と過労死
1970年代頃から、「Made in Japan」が世界的に評価され、需要が急激に伸びました。それに伴って追いつかない供給をカバーし、コストを削減する目的で生まれたのが、「残業」です。
人を雇うより便利だと安易に判断する経営者が多く、ムダであっても努力が美徳という生真面目な日本人の性格が悪い追い風となり、「残業文化」は日本の悪習となりました。
時を同じくして、70年代後半から中小企業の管理職層で心筋梗塞を発症する人が増え、80年代になるとサラリーマンが突然、心筋梗塞や心不全、くも膜下出血、脳梗塞などの疾患で命を失ってしまう「過労死」という言葉や、精神的に病んでしまう「うつ病」といった言葉が浸透する時代となりました。
88年には、職業病に詳しい専門家が中心となって「過労死110番」が設置されると、電話が殺到したそうです。
それでも残業は増え続けました。
90年代になっても企業が手をつけたのはコスト削減でした。「カネ」が優先され「人」が酷使しされ続ける傾向が続きました。
残業でカバーできない部分は賃金の低い非正規雇用を増やしたり、外国人労働者でまかなってきました。
グラフをみても分かるように、2000年以降も認定されているだけでも「平均で毎日1人が過労死で死んでいる」という状況が続いています。
そんな中、2015年に大手広告代理店の電通の女性社員が過労自殺した事件が起こり、裁判に発展していったことによって世間の目もようやく労働環境問題に焦点が集まりました。
日本国政府も、2013年に国連から長時間労働に対しての是正勧告がなされてきた背景や、ワークライフバランスが保てないことで結婚しない人たちも増え、出生率が年々低下して労働人口がどんどん減っている現状、および労働生産性がOECD主要7カ国で最下位であることへの対策として、2019年から「働き方改革」による課題改善の取り組みがなされています。
過労死認定件数の推移
解決への動き
働き方改革
労働問題解決への動き
残業文化や過労死などの背景からの改善の国の取り組みとして、既存の労働基準法に加えて、2018年に成立した「働き方改革関連法」が施行されました。
労働基準法にて、法定労働時間は原則として1週40時間、1日8時間までと決められています。
これを超える労働時間は残業であり、労働者側との協定(36協定)を交えて残業時間の上限(1ヶ月で45時間以内、年間360時間など)が定められています。
また、企業は別表にあるように法定時間を超えた分の残業代には割り増し賃金を支払わなければなりません。
法律を守らない企業への罰則も強化され、企業は残業をさせることによる負担やリスクが大きくなることになりました。
過労自殺で裁判となるような事件もあり、労働基準法に違反しワークライフバランスが取れていない企業は「ブラック企業」と呼ばれるようになって、若い世代の就職への意識も大きく変化してきました。
ブラック企業は人材の定着率が悪く、社員のモチベーションが上がらず良い人材が集まらないため、生産性が低下していくという悪循環となり、いずれ衰退していくことを余儀なくされています。
世界でコロナによるパンデミックが起こったことで、労働スタイルを改める契機にもなり、持続可能な健康経営をするためには、労働環境の見直しは当たり前の時代となったと言えるでしょう。
沖縄でも早急な健康経営、働き方改革が求められています。
引用元:しっかりマスター労働基準法
関連情報
沖縄の交通インフラについて
現状
何が原因なの?
解決への動き
関連情報
沖縄の基地問題の不平等を失くそう
現状
沖縄には、日本全体のアメリカ軍専用施設の約70%が集中し、沖縄本島の約15%を占めています。
多くの基地があることで、沖縄の人達はいろいろな問題に苦しめられてきました。
特に街の真ん中にある普天間飛行場は世界一危険と言われており、
普天間基地の米軍ヘリが沖縄国際大学の構内に墜落したなどの大変危険な事件もありました。
また、戦闘機などの大きな音が原因で眠れなかったり、学校の授業で先生の声が聞きづらくなったり、
米軍基地から飛行機などの燃料油が漏れて川や海などを汚し、沖縄の豊かな自然環境を壊してしまうなどの問題があります。
何が原因なの?
原因としては、3つの大きな原因があります。
第1に、沖縄という小さな島に日本全体のアメリカ軍専用施設の約70%が集中しているということです。
多くの米軍基地があることで、軍用機の騒音や墜落事故などがあります。
嘉手納基地や普天間基地のように、ほとんど1日中離着陸がなされるところでは特に深刻です。
また米軍の戦闘機やヘリコプターによる事故も多く、誤って照明弾や燃料補助タンクを落としたり、「沖縄の空は雨ではなく物が降ってくる」と言われるほど危険です。
また、実習演習によって引き起こされる山林火災の被害も深刻な問題となっている。
第2に、アメリカ兵による事故や犯罪もとても深刻です。
復帰以降のこれまでの検挙件数は、殺人・婦女暴行などの凶悪犯罪も含め、5,000件を超えており、沖縄に住む人々を怯えさせています。
しかも、こうした犯罪者の中には日米地位協定がある為に、日本で裁かれることなく密かに本国に送還されてしまうケースもあります。
第3に、沖縄全体の1割を米軍基地が占める為、周辺集落の交通が遮断され、望ましい都市形成や交通網体系の整備の妨げとなっています。
そして、町のゾーニングもできないまま無秩序な開発が進み、交通渋滞を引き起こす一因となっています。
解決への動き
解決策としては、沖縄に集中している70%の米軍基地をしっかり分配して1つの県だけに負担が大きくかからないようにすることが解決に向かう第1歩になると思います。
現在、普天間基地を辺野古に移設しようとしているが、街の真ん中にある基地がなくなれば危険性は減るが、同じ沖縄に移設することは移設先の人達の不安やリスクになり、
根本的な問題解決にはなりません。
また、米軍基地やアメリカ兵が一方的に悪いというわけではなく、しっかり日本とアメリカでどちらにとっても住みやすい世の中になるように話し合いをすることが大事です。
それだけでなく、日本という国が沖縄県のことをしっかりと考えて行動に移すことがこの問題を解決することにとってとっても大事なことだと思います。
台風による災害
現状
沖縄における災害として、台風や大雨が挙げられ毎年多くの台風が沖縄に被害を残していきます。
実際に2011年〜2020年の過去10年間、台風接近数は1年間平均して約8回もあり台風が接近する度に停電や農作物だけではなく、観光などにも被害があります。
その他にも冠水や土砂災害などもあります。
2020年に発生した台風10号では大雨による冠水が発生し一部道路が通行止めとなりました。
南大東島ではサトウキビへの被害が約3億1千万円にもなり、日常生活に影響がある上に経済へのダメージも深刻なものとなってしまいます。
台風で道路陥没
何が原因なの?
沖縄は、地理的に毎年発生する台風の通り道になりやすい場所です。
台風による災害は昔からで、自然によってもたらされるため、避けにくい面もありますが、近年地球温暖化による気象変動で被害が大きくなっている事も懸念されています。
県内でも地域によって停電、雨や高潮による浸水など被害はそれぞれです
倒木で電線に当たり停電(石垣島)
解決への動き
しかしながら、事前の台風対策、雨や冠水時の避難場所の確認など自然とうまく付き合っていくことで被害を抑える事が出来るはずです。
車社会による渋滞と公共交通機関の利用
現状
沖縄本島は南北に細長く両端は100kmほどの距離があります。
鉄道網が発展している県外と比較すると、沖縄県では米軍基地などの関係で現在鉄道はなく、那覇市や浦添市など南部中枢にあるモノレール(ゆいレール)があるだけです。
路線バスはありますが、中枢市街地に集中して、地方では路線バスが通らない地域なども存在しています。
観光客が多く訪れていた背景からタクシーもそれなりに配備されていますが、どうしてもタクシーの利用は高額になります。
そのため、県内では移動に自家用車が欠かせない状況 であり、「車社会の沖縄」が出来上がっています。
朝夕の通勤時間帯には主要道路で交通渋滞が起こるのは日常茶飯事となり、渋滞による時間やコストの損失、ガソリン車による二酸化炭素や二酸化硫黄等の排気ガスによる環境汚染や地球温暖化への影響も無視できません。
さらに、現在コロナ禍の影響で、観光客頼りの公共交通機関はいずれも苦しい状況にあり、自家用車の代替になる道は遠く及びません。
58号線の渋滞
何が原因なの?
戦前は、鉄道が走っていた時代もありました。
しかし、戦後多くの土地が米軍に押収されたこともあり、鉄道の開設には至っておりません。
近年、那覇から名護までを結ぶ鉄道案が議論され、実現に向けての動きもありますが、現状では高額な敷設費用、運営費用をまかなえるだけの採算がとれず、運営の事業自体が成り立つ見込みがなく、頓挫しているようです。
路線バスに関しても、自家用車が当たり前のように普及している沖縄では利用率が低いのが現状です。
そうなると採算が取れる路線での運用が優先されますので、利用頻度の少ない地域では路線バスが走っていません。
そういった地域の高齢者や子供たちなど、自家用車を持てない人たちが買い物や通院、通学などの移動に不自由を強いられているのが現状です。
沖縄県営鉄道 – Wikipediaより
解決への動き
近年県内では自治体による運送サービスができ始めています。
沖縄市など市町村がコミュニティバスを運行しており、路線バスと同じように時刻表に合わせてバス停を従来する形式と住民の予約に応じて走らせる「デマンド型」が存在します。
また、世界的に脱炭素の動きで電気自動車の普及が図られています。さらには、自動運転の技術も進んでいます。
日本でもバスやタクシーなど公共機関での電気自動車の活用や自動運転車も実験的に行われ始めています。
より便利で、環境にも優しい社会づくりが期待されています。
コミュニティバス
関連情報
食品廃棄(食品ロス、フードロス)
現状
私たちの生活の中で、身近で分かりやすい問題は食品廃棄ではないかなと思います。世界中で飢餓で苦しむ人たちがいる中、日本では食品廃棄が問題となっています。
食品廃棄とは、食品ロス(フードロス)とも呼ばれています。
「まだ食べられるのに廃棄される食品」や、「食べ残しや賞味期限切れで廃棄される食品」などを食品ロスと呼びます。
食品ロス イメージ
何が原因なの?
食品ロスが起こる原因には主に「家庭・外食での食べ残し」や「腐敗やカビの発生」、「お店での売れ残り」などがあります。 「食べ残し」や「売れ残り」という原因から、供給される量に対して消費量が少なく、食品が余ってしまっている状況です。
「食品ロスは、お店の問題でしょ!?」 と思われるかもしれませんが、調査によると、食品ロスの半分近くは、家庭から出ているそうです。 また、お店から食品ロスが出てしまう理由は、消費者にも原因があります。 外食で食べ残してしまうことはないでしょうか? また、買い物をする際に、賞味期限が新しいものを取ろうと、陳列の奧に手を伸ばしたことはありませんか? 消費者のこのような行動が、お店の商品で古いものが残ってしまって、割引きしても売れ残り、やむなく廃棄するという事実を引き起こしている場合も少なくありません。食品ロスがお店から出る主な理由
- 供給バランスの悪さでの売れ残り
- 外食での食べ残し
- 消費者が賞味期限の新しいものから購入することで、古いものが売れ残ってしまう
食品ロスが家庭から出る主な理由
- 野菜や皮や肉の脂身など、工夫次第で十分に食べられる部位が過剰に捨てられている
- 安価であることから買いすぎてしまったり、使いきれない
スーパーでの買い物 イメージ
解決への動き
国内の法律
日本では食品ロスを削減するために、2つの法律が設けられています。
「食品ロスの削減の推進に関する法律」
2019年10月1日に施行された新しい法律です。食品ロスの定義や施策による食品ロス削減の推進、基本的な方針や施策などが盛り込まれています。
「食品リサイクル法」
2001年に施行、2007年に改正されており、20年ほど前から実施されています。
食品リサイクル法は食品の売れ残りや食べ残し、あるいは食品製造工程で大量に発生している食品廃棄物に関して、発生制御と減量化を行い、最終的に処分する量を減少させることを目的とした法律です。
処分になったとしても、飼料や肥料などの原材料として再利用するなど、食品循環資源の再生利用を促進する目的も盛り込まれており、削減と再利用する取り組みが進められています。
日本もったいない食品センター「ecoeatエコイート」
廃棄予定の飲料や食品を買取または無償で引き取り、その中から賞味期限残に限らず安全かつ美味しく食べていただける食品のみを陳列しているお店です。
販売している商品をご購入いただくことでより多くの食品ロスを減らすこと、より多くの生活に困窮する方を救うことができます。
2020年11月現在、関西を中心に9店舗あります。そのうち1店舗が沖縄県糸満市にあります。
私たちにできること
- 食べきれない食品を買いすぎない。
- 商品は陳列の前方からピックアップ
- 食べられる分だけ調理する
- レシピサイトを検索して余った食材を調理して使い切る
- 食べきれなかった食材を冷凍などをして保存する
- 外食時は食べきれる量を注文する
- 買いすぎた食品や余った贈答品はフードドライブなどへ寄付する
平均気温が2℃上昇するとどうなるの?
現状
近年、気象変動を体感で感じるようになり、以前にも増して地球温暖化による危機が叫ばれるようになってきました。
2020年以降の気候変動問題に関する取り組みを定めた、国際的な枠組みであるパリ協定では、 『世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする』 と目標が定められました。
しかしながら、
「たかが1℃や2℃で、なにをそんなに騒いでいるの?」
と思われる方も多いのではないでしょうか?
何が原因なの?
平均気温が2℃上昇すると
山火事や洪水や暴風雨などの災害増加はもちろんですが、水や食料への被害が特に人類存続に直接影響してくる大問題となってきます。ただの悪い想像だったら心配しすぎで済むのですが、世界の科学者が発表する論文や観測・予測データから、まとめられた調査結果として予見されている事なので、放ってはおけない問題となっております。
平均気温が2℃上昇すると
- 低緯度地域で幾つかの穀物のできが悪くなる
- 小規模農業者・漁業者へのマイナス影響
- 地域的に水利用の減少、干ばつの増加
- 数億人が水不足の深刻化に直面
- 洪水と暴風雨による被害の増加
- 毎年数百万人が沿岸洪水を経験
- ほとんどのサンゴが白化
- 森林火災リスクの増加
- 30%の生物種が死滅リスク
- 伝染病を媒介する生物の生息地変化
- 栄養失調、呼吸器疾患、感染症による社会的負荷の増加
- 熱波や洪水、干ばつによる病人、死者の増加
※国連 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)
解決への動き
世界の動き
2015年、フランスのパリで行われた国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)に於いて、日本を含む175の国と地域による歴史的な合意と言われる「パリ協定」が採択されました。
パリ協定 概要
- 世界共通の長期目標 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃目標の設定。1.5℃に抑える努力を追求すること
- 主要排出国を含むすべての国が削減目標を5年ごとに更新・提出すること
- イノベーションの重要性を位置づけ
- 5年ごとに世界全体としての実施状況を検討
- 先進国による資金の提供。途上国も自主的に。
- クレジット制度も含めた市場メカニズムの活用
※外務省ホームページより
パリ協定の発効以降も、パリ協定の目標達成のための会議などが随時行われていますが、現状まだまだ課題が大きくより一層の努力が求められているのが現状です。
沖縄の気候変動
現状
地球温暖化の影響
沖縄地方では年間平均気温はこの100年間で1.19℃上昇しており、世界平均の上昇幅よりも大きいことが分かります。※1一日の最高気温が30℃以上となる真夏日は10年で2.7日ずつ増加、最高気温が25℃以上の熱帯夜も10年で5.7日の割合で増えています。今世紀末の2100年には、20世紀末と比較して年平均気温が3.3℃上昇し、最高気温が35℃以上の猛暑日は0日から57日に増えると予測されています。
※1 沖縄の気候変動監視レポート2020より
何が原因なの?
地球温暖化の原因は95%以上が人類の活動によるものと分析されています。
地球温暖化の主な原因
- 石油やガス等の化石燃料の大量消費にともなう、
二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスの大量放出 - 森林の大量伐採により、
自然による二酸化炭素の吸収力が弱まっている
こうした影響で、地球の外に向かうはずの熱が大気内に蓄積されることで、気温が上昇してしまう(温室効果)影響が強まってきていると言われています。
近年では、温暖化が原因で世界各地で大規模な森林火災が起きたり、氷河が大量に溶けだすことでさらに閉じ込められていたメタンガスが大気に放出されてしまうなど、悪循環が進んで温暖化の加速度が増しているのが現状です。
沖縄では・・
家庭から排出される二酸化炭素の約半分は電気の使用によるものです。
沖縄では、原子力発電も水力発電も立地上難しいため 、化石燃料を大量消費する火力発電に大部分を頼らざるを得ない現状があります。
さらに、自然豊かだった環境も観光開発や人口増加に伴い森林伐採が増え、さらに自動車社会による排気ガスの増加で、沖縄からも温室効果ガスが大量に排出されているのが現状です。
沖縄でも温室効果ガス排出量増加
- 90%以上を化石燃料を使う火力発電に依存
- 人口増に伴う森林の伐採
- 車社会に依存した排気ガス量増加
等々。。
解決への動き
社会の動き
2021年10月、菅内閣によって、「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロへ」という目標が掲げられました。
国が明確な方針を示したことで、各界も少しずつ動き出してきているようです。
沖縄での動き
沖縄県では、「沖縄県地球温暖化対策実行計画」を策定し、行政・事業者・県民がそれぞれの役割に応じて連携を図りながら、地球温暖化を防止することを目的に動いています。
沖縄電力では、管理している火力発電所のうち、二酸化炭素の排出量の多い石炭による火力発電所から、石炭と比べて排出量が6割程度の液化天然ガス(LNG)による火力発電の運用割合を増やしていく方針です。
また、太陽光や風力発電、バイオマスなど再生可能エネルギーを活用した運用の割合も増やしていく方針です。
県内各地域で温室効果ガスを抑制した取り組みが進み始めています。
海洋プラスチックごみ問題
現状
その中でも特に深刻で問題視されているのが「プラスチックごみ」です。世界では毎年少なくとも800万トンものプラスチックごみが海に流出しています。
このうち日本からは毎年6万トンほどのプラスチックゴミが流出しています。
海の生態系に甚大な影響
魚類、海鳥、アザラシなどの海洋哺乳動物、ウミガメを含む少なくとも約700種もの生物が傷つけられたり、死んだりしています。
- 100頭を超えるウミガメの死体の内臓を調査したところ、全ての個体からプラスチック粒子が800以上見つかった。
- 海鳥の胃袋の中にプラスチックごみが溜まって、餌を食べられなくなって餓死していた。
- 海岸に打ち上げられたマッコウクジラを解剖したら、体内に6キロ近いプラスチックごみが溜め込まれていた。
プラコップ115個、ペットボトル4個、レジ袋25枚、ビーチサンダル2足、など。
「このまま対策をとらなければ、2050年には海洋プラスチックごみの量が、魚の量を上回る※」と予測されています。
※2016年 世界経済フォーラム
漁業・養殖・観光業への損失
海の生態系に被害がおよぶことで、海洋に関連した業界にも大きな損失が生じています。
海洋プラごみによる年間経済損失
- 漁業・養殖業 3.6億ドルの損失
- 観光業 6.2億ドルの損失
※アジア太平洋地域。2009年APEC運輸海洋資源保護作業グループより
マイクロプラスチックによる人体への被害
マイクロプラスチックそのものに化学物質が添加されていたりすることも多いので、有害物質が含まれていることが少なくありません。そのマイクロプラスチックが、魚類の体内に含まれたまま凝縮し、その魚を摂取した人間の体の中に取り込まれることもあります。直接的な影響は現在も調査中ですが、胎児の成長を阻害したり、精子が減ったり、乳がんになりやすくなる、といった可能性が示唆されています。
何が原因なの?
手軽で加工しやすい上に、耐久性があり、安価に大量生産ができるプラスチック。
ストローやビニール袋、ペットボトルやお弁当の箱、服のボタンなど身近なものから、自動車や建設の資材などに至るまで、プラスチックは私たちの生活のあらゆる場面で使われています。
しかし、手軽であるがゆえその多くは「使い捨て」されていて、しかるべき処理がされずに自然環境に流出してしまうことも少なくありません。
捨てられたプラスチックが河川などを通して最終的に流れ着くのは「海」です。
プラスチックは、自然界の中で半永久的に完全に分解されることなく残り続けています。
解決への動き
2019年に大阪で開かれた世界20カ国首脳会合(G20)では、最大のテーマの一つが海洋プラごみ問題でした。
世界的な問題意識の高まりを受けて、国や民間でも以下のような対策を施しています。
海洋プラごみ対策
- 廃棄物処理制度やリサイクル制度の徹底行使、体制の強化、法律や条例の強化
- 陸域や海洋流出ごみの官民共同回収
- 買い物時のビニル袋からエコバッグへ推進
- プラスチック製ストローから紙製ストローへ
- 発砲スチロール製の鮮魚箱や農産箱のリサイクル
- 植物由来の成分解性プラスチックによる代替
- ラベルなしのペットボトル
・・・等々
日本は米国に次いで1人当たりのプラスチックごみ廃棄量が多い国です。
プラスチック削減に私たち一人ひとりが協力するべき時だと感じます。
海岸漂着ごみ問題
現状
沖縄の海岸というと、南国エメラルドブルーの海の色に白い砂浜といった、美しい海岸のイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、近年海岸域に大量のゴミが漂着しており、観光面や自然環境への影響だけではなく、漁業活動や堤防など海岸保全施設の機能を阻害して生活環境も脅かしているというのが現状です。
2016年の沖縄県環境部環境整備課による調査発表によると、目視で確認できた分だけで、県内の海岸におよそ9,000㎥の漂着ゴミが残っている状態でした。海岸に限らず、河川にも約350㎥のゴミが存在していて、特に人口の多い本島南部に多く、粗大ゴミの割合が高い結果でした。
その後の継続調査によると、県内の海岸に漂着してくるゴミは、年間20,000~40,000㎥、重さにして2,000~4,000t(トン)にもなるそうです。
何が原因なの?
流れてくる漂着ゴミは、海外からのペットボトルや漁具などの廃プラスチック類や流木、医療系廃棄物などがあります。
さらに私たちの生活から出たゴミ等が河川から流出して海岸域に大量に漂着している事実もあります。
解決への動き
環境省にて、2009年に施行された法律がさらに2018年6月に改正され、「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」となりました。
市町村の協力義務もあり、より積極的な保全対策が進められようとしています。
しかしながら、飽くまでも「対症療法」でしかありませんので、根本的な解決のためにゴミやプラスチックを減らしていく努力が求められています。
サンゴ礁の破壊・白化現象
現状
沖縄の海に拡がる色とりどりの美しいサンゴ礁。 サンゴは動物で、共生している藻によって栄養素を得ています。 『サンゴ礁は水質のバロメーター』と言われており、サンゴ礁が広く生育している沖縄の海域は水質が良質で、生態系がきれいに保たれている証しでもありました。
しかしながら、近年沖縄のサンゴ礁は減少し続けています。
中でも「白化現象」はサンゴ礁衰退の大きな原因の一つとされています。白化した状態が続いたサンゴは共生藻から栄養素を得られなくなり、いずれ死に絶えます。
国際自然保護連合(IUCN)などの調査によると、世界のサンゴの3分の1の種に絶滅の危機が迫っているとされています。
サンゴの白化
何が原因なの?
サンゴの白化には、サンゴ自体への何らかの環境ストレスが原因と考えられています。具体的には複数の原因が考えられています。
- 温暖化による海水温の上昇
- 淡水や土砂の流入
- 強い光
- 日焼け止めクリームに含まれる化学物質
特に、「温暖化による海水温の上昇」が主たる原因だと分析されています。
サンゴの生息に適した水温は25℃~28℃と言われており、30℃を超える水温の状態が長く続くと白化が起こることが確認されています。
高水温だけではなく、上記に示した様な原因の複合効果で白化した可能性が高いことも指摘されています。
解決への動き
社会の動き
サンゴの白化を防ぐために、全世界的な温暖化対策が求められています。
2020年10月には、日本政府より「2050年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロ」という目標が掲げられ、国内での具体的な施策が進められています。
また、高水温以外の具体的なストレスの原因を明らかにした上での対策も必要です。
沖縄での動き
各地の有志や研究機関によって、サンゴの養殖が行われています。
過去の美しい沖縄の海を知っているからこそ、減っていくサンゴに嘆いている人達がたくさんいらっしゃいます。
『美しい海を未来に繋げていきたい』
そんな想いを拡げていきたいですね。
赤土流出問題
現状
赤土が流出することにより、河川や海によくない影響を多くもたらします。
河川
赤土が川底に沈むことにより、自然の浄化機能の低下や生活用水、工業用水の水質の悪化。 河底や岩などの藻類の減少しそれらを食べている生き物も減少してしまいます。
海
雨の影響でイノー(礁池)に流れ着いた赤土は流れ込んだ時のみではなく、風や波が強くなると海中にふたたび舞い上がり慢性的にサンゴ礁などへの影響があります。
赤土が日光を遮ってしまいサンゴが光合成をしにくくなり数が減少。 それに伴って、魚や小動物たちの住処もなくなりサンゴ礁に住む生き物全体の数が少なくなってしまいます。
- 河川・沿岸海域における赤土等の堆積
- 河川生態系への影響
- 海域への赤土等流出によるサンゴ礁への影響
- 沿岸漁業への被害
- 自然景観の悪化
- 観光関連産業への影響
何が原因なの?
沖縄の土壌粒子が細かく粘着力が弱いので赤土が流出しやすいことが原因で降雨により、土壌が侵食されることによって赤土が流出しています。
土壌が侵食される原因は大きく分けて「自然的要因」と「人為的要因」 に分かれています。
- 気象的要因(降雨)
- 土壌的要因(侵食されやすい土壌)
- 植生的要因(土地利用、植生被覆)
- 地形的要因(急峻な島嶼地域)
- 各種開発事業
- 各種公共事業
- 農地、裸地
- 米軍基地、演習場
この中でも特に農地からの流出は多く、2016年のデータによると流出している赤土の約84%が農地からによるものだそうです。
解決への動き
995年に「沖縄県赤土等流出防止条例」が施行され、流出の多くが農地からと言うこともあってか、農地での対策が多く見つかりました。
- グリーンベルト…畑の周りに植物を植え、濁水がそこを通るときにろ過される。
- 緑肥…休耕地にはヒマワリなどの植物を植え、畑の裸地化を防ぐ。
- 葉穀梱包…畑と水路の間にサトウキビの葉を束ねたものを並べ、濁水の流出を防ぐ。
- マルチング…サトウキビの葉などで表土を覆い、土壌の侵食を防止する。
- 畑の勾配修正…畑の傾斜を緩やかにして表流水の流れを弱める。
以上の対策が見つかりましたが、個人経営の農家が多く、費用と時間がかかるためなかなか手が出せないと言うのが実態です。
そういった問題を解決すべく行政からの補助金やNPO団体の協力もあるようです。
外来種による在来種への被害
現状
沖縄諸島には、この地域にしかいない動植物が多く生息しており、その中には天然記念物や、絶滅危惧種など貴重な生き物も含まれています。
そのような貴重な在来種(元々その地域に生息している動植物)とは別に、外来種(人間の手によって持ち込まれた動植物)と呼ばれる動植物がおり、その外来種の中には在来種の生態系を脅かすものも少なくありません。
例えばマングースはヤンバルクイナを捕食してしまうので、その結果ヤンバルクイナの数が減ってしまうということに繋がるのです。
植物界においても繁殖力の強い外来種が、在来の植物を枯らしてしまったり、農作物への被害も出ています。
在来種が激減してしまうことで、今まで保たれていた生態系が大きく崩れてしまうこともあり、美しい景観が損なわれてしまったり、外来種による農作物への被害や、人間への直接的被害など、人に対しても様々な被害が及んできてしまうことが問題となっています。
ヤンバルクイナ
何が原因なの?
ペットとして飼育されていたものが逃げ出したり、無責任な飼い主により捨てられてしまった動物や害獣駆除のために持ち込まれ動物が野生化してしまうことが原因と言われています。
また、観賞用や緑化用に持ち込まれた植物の種子や根が離れた地域で広がってしまい、数を増やしてしまった事が原因と言われています。
マングース
解決への動き
沖縄県では2000年度より、環境省は2001年度よりマングースの捕獲を行っており、2005年度にはマングースが特定外来生物に特定されたことを受け、大宜見村塩屋~東村福地ダムのライン(SFライン)以北からマングースを根絶する防除実施計画が立てられこれまでの防除事業によりマングースの生息密度は大きく低下してきました。
それに伴いヤンバルクイナなど希少な従来生物の分布域、生息密度の回復が確認されています。
生け捕り用のわなや、マングース探知犬、センサーカメラなどを導入し、2022年までに本島北部からマングースの根絶を目指しています。
ここまでマングースを例にしてきましたが、実は犬や猫も野生化してしまうとノイヌ、ノネコと言われ、在来生物や我々人間にも病気の媒介などとして害を及ぼすことがあります。
飼えなくなってしまったからと言って、元々生息していなかった地域へ放ってしまうと、その地域の生態系を大きく損なってしまうことがあるので、無責任な行動は絶対にしてはなりません。
米軍基地問題
現状
沖縄本島の15%が米軍専用施設
青い海と美しいサンゴ礁など、豊かな自然に恵まれている沖縄県は有数の観光地です。
しかしながら、同時に「米軍基地の県」として、今なお様々な課題を抱えています。
県内には、31の米軍専用施設があり、総面積は18,609ha(ヘクタール)で沖縄本島の15%の面積を占めています。
その規模は、東京23区のうち、13区を覆ってしまうほどの広大な面積です。
また陸上だけでなく、水域27箇所と空域20箇所が訓練区域など米軍管理下に置かれており、漁業の制限や航空空路の制限などもあります。
何が原因なの?
第二次世界大戦中に日本国内で地上戦が行われたのは唯一沖縄だけです。
1945年4月1日にアメリカ軍55万人が沖縄本島に上陸しました。その目的は沖縄全島を米軍基地化して、日本本土攻略の足場を築くためでした。
約2ヶ月間の地上戦で日本人の犠牲者は約20万人、この中には沖縄の一般県民 約94,000人が含まれています。
これは当時の沖縄県民の4人に1人が犠牲になったことになります。
戦後の沖縄は、昭和47年(1972年)の本土復帰まで27年間に渡って、米軍の施政権下にありました。
日本本土は米軍基地の整理縮小が進む中、沖縄では復帰後も多くの米軍基地が日米安全保障条約に基づく提供施設・区域として引き継がれており、現在では国土面積の約0.6%しかない沖縄県に国内の米軍専用施設面積換算で70.3%(令和3年3月31日現在)が沖縄に集中している状態です。
沖縄米軍基地の役割の変遷
米軍基地は戦後の米軍統治下では、沖縄は本土から分断され、アメリカにとって沖縄を有利な施政下を敷くための拠点でした。
本土復帰までの27年間は日本政府から十分な支援を受ける事ができない状態でした。
その間も米軍基地は、朝鮮戦争やベトナム戦争など、他国の戦争におけるアメリカの軍事拠点となってきました。
本土復帰以降、格差の是正や沖縄の自立的発展のために沖縄新興開発計画のもと、沖縄の振興が図られ、米軍基地との共存が図られてきました。
米軍による事件や事故による負担もあり、様々な政治的経緯から戦後よりは県内の基地の縮小が図られているものの、軍事的・政治的理由で、沖縄県の基地負担は大きく軽減はされていません。
時代を経て近年では、近隣アジア各国の軍事力が高まり、核兵器を含む大規模な軍事力が日本周辺に存在しています。
北朝鮮から日本方向に向けたミサイル発射や、中国の海洋進出に伴う尖閣諸島奪取のための度重なる領海侵犯など、日本に対して敵対的な行動による緊張状態が続く中、日米安保条約に基づき米軍基地が他国からの侵略に対する抑止力にもなっているとされています。
県民の意識
第二次大戦後から既に70年以上が経ち、様々な問題を経て今に至りますが、戦争中や戦後の米軍関連のトラブル被害による癒えぬ痛みの歴史を抱え、基地反対を貫く人たちと共に、既に基地が沖縄の一部として共存している面、アメリカ以外の他国からの侵略の歯止めになっている面などから、現実問題として米軍基地を認める人たちもいます。
基地問題は今でも議論が分かれ、選挙でも議論の的になって票が分かれています。
県民同士でも、意見の違いによって争いに発展することがあるので、普段の会話ではあまり話したくないタブー的な風潮もあります。
日本周辺の軍事力
防衛省 在日米軍・海兵隊の意義および役割より
解決への動き
SDGsの観点からも、持続可能で平和な社会・世界を構築するためにも、悲劇と破壊を生み出す人間の戦争ほど愚かなことはありません。
戦争の道具となる、武器や基地も、ないに越したことはありませんから、沖縄の米軍基地ももちろん存在して欲しくないものです。
しかしながら、歴史的な事実として力をもった強国が弱国へ侵略を繰り返してきた事実があります。
第二次大戦後、日本は直接戦争に巻き込まれていない時代が続いていますが、これから先もそれが保証されるわけではありません。
北朝鮮や中国からの牽制はもちろん、近隣のアジア諸国でも様々な紛争や緊張状態が続いているのが現状です。
そのため、現実的な対応として社会的に戦争を起こさないために、話し合いや経済交流を行うことはもちろん、武力均衡を保つことも必要という意見もあります。
このページ上ではとてもまとめきれませんが、過去のたくさんの悲劇や哀しみを教訓に、多くの方々による戦争の悲劇を繰り返さないための取り組みが今なお進められています。
県民間や国内で意見は違えども、平和であることが誰もが幸福な生活を送れる土台とはずです。
これからも、様々なトラブルに対して一人一人が武力解決ではなく、平和的解決の道を常に模索していく必要があると思います。
沖縄県のパートナーシップ
現状
沖縄県で、SDGsパートナー企業は年々増え続けてはいますが、パートナー企業に登録しているだけで個々で活動している企業・団体がほとんどに思えます。なので沖縄SDGsパートナーに登録している企業・団体同士でパートナーシップを構築するのには難しい現状もあります。
何が原因なの?
国や地域、企業、NPOなどの関係者が関わる中で、それぞれの立場や利害が絡み合い、協力関係は難しくなっています。特に、利益を重視する企業と、社会的な価値を追求するNPOとの間で、共通の目標に向かって進むことは非常に難しいのが現状です。また、持続可能な社会を目指すためには、長期的な視点での協力が必要ですが、短期的な利益を優先しやすい企業の動きとは相反します。
SDGs17の達成には、多くの関係者間での信頼関係や協力関係の構築が必要になります。
企業や自治体の方針と団体の活動内容が一致しない場合、協力の機会が少なくなってしまいます。また、互いの活動内容や目標について十分に理解していないため、協力するきっかけが生まれません。
解決への動き
これらの課題を解決するためには、企業や自治体が地域社会や市民団体の活動に理解を深め、積極的に関わることが求められます。また、団体側も自らの活動を広く社会にアピールし、パートナーシップの構築に努める必要があります。