現状

発がん性物質が水源を汚染
以前から米軍基地周辺の河川や浄水場に発がん性が疑われている有機フッ素化合物が高濃度で検出されており、基地への立ち入り調査を求めても米軍が応じずに原因不明の期間がありました。

沖縄の水源を汚染している有機フッ素化合物は、PFOS・PFOA・PFHxSなどと呼ばれています。
いずれも環境中でほとんど分解せず、生物の体内に蓄積して、発がん性が指摘されています。
ストックホルム条約で国際的に製造・使用が制限されていて、日本国内でも一部例外を除いて原則的に使用・製造が禁止されています。

 

住民の血液調査結果 人体に汚染物質

2019年に、有機フッ素化合物による影響を調べるため、宜野湾市の住民の血中濃度が検査されました。
比較対象として同様に南城市の住民の血中濃度も検査されました。
調査結果では、水汚染による人体侵害の実態が浮かびあがりました。

 

 

検出されたPFOS、PFOA、PFHxSの血中濃度[単位 ng/mL]
全国平均 南城市 宜野湾市
PFOS 3.5 6.6 13.9
PFOA 1.5 2.7 3.3
PFHxS 0.3 3.9 16.3

※全国平均は2016年環境省「化学物質の人への曝露量モニタリング調査結果について」より

何が原因なの?

2020年4月に、米軍普天間飛行場から近辺の河川に大量の泡消火剤が流出する事件がありました。
地元宜野湾市では、河川や空中にも白い泡が拡がる事態となったため、米軍も調査に応じました。
調査の結果、成分にPFOS・PFOAなどの有機フッ素化合物が含まれていたことがわかりました。
米軍基地からの泡消火剤等が、水質汚染の大きな原因であったことが判明した事件でした。

 

解決への動き

基地排水等による公共用水域への水質汚濁については、流域の下水道への接続やし尿処理施設の整備などによって、年々改善されてきています。
泡消火剤流出事件の後は、米軍も泡消火剤を有機フッ素化合物の含まない消火剤に交換するなど対処したようです。
国と沖縄県では、監視のために基地周辺の水域を定期的に監視調査(水質、底質、魚類)を実施して、研究所での分析を行っています。

個人ができることは限られているかもしれませんが、いつでも蛇口を開けば安心した水が飲めるとは言い切れないことも意識しておいた方が良いのかもしれません。