現状
海洋汚染には、ごみの不法投棄や工業排水、生活排水など、さらに船舶の事故による油の流出などがあります。
その中でも特に深刻で問題視されているのが「プラスチックごみ」です。世界では毎年少なくとも800万トンものプラスチックごみが海に流出しています。
このうち日本からは毎年6万トンほどのプラスチックゴミが流出しています。
その中でも特に深刻で問題視されているのが「プラスチックごみ」です。世界では毎年少なくとも800万トンものプラスチックごみが海に流出しています。
このうち日本からは毎年6万トンほどのプラスチックゴミが流出しています。
海の生態系に甚大な影響
直接的には海で暮らす生物に悪影響を与えています。
魚類、海鳥、アザラシなどの海洋哺乳動物、ウミガメを含む少なくとも約700種もの生物が傷つけられたり、死んだりしています。
魚類、海鳥、アザラシなどの海洋哺乳動物、ウミガメを含む少なくとも約700種もの生物が傷つけられたり、死んだりしています。
- 100頭を超えるウミガメの死体の内臓を調査したところ、全ての個体からプラスチック粒子が800以上見つかった。
- 海鳥の胃袋の中にプラスチックごみが溜まって、餌を食べられなくなって餓死していた。
- 海岸に打ち上げられたマッコウクジラを解剖したら、体内に6キロ近いプラスチックごみが溜め込まれていた。
プラコップ115個、ペットボトル4個、レジ袋25枚、ビーチサンダル2足、など。
「このまま対策をとらなければ、2050年には海洋プラスチックごみの量が、魚の量を上回る※」と予測されています。
※2016年 世界経済フォーラム
漁業・養殖・観光業への損失
海の生態系に被害がおよぶことで、海洋に関連した業界にも大きな損失が生じています。
海洋プラごみによる年間経済損失
- 漁業・養殖業 3.6億ドルの損失
- 観光業 6.2億ドルの損失
※アジア太平洋地域。2009年APEC運輸海洋資源保護作業グループより
マイクロプラスチックによる人体への被害
プラスチックごみの中でも回収しきれないほど細かくなった(直径5mm以下)ものをマイクロプラスチックといいます。
マイクロプラスチックそのものに化学物質が添加されていたりすることも多いので、有害物質が含まれていることが少なくありません。そのマイクロプラスチックが、魚類の体内に含まれたまま凝縮し、その魚を摂取した人間の体の中に取り込まれることもあります。直接的な影響は現在も調査中ですが、胎児の成長を阻害したり、精子が減ったり、乳がんになりやすくなる、といった可能性が示唆されています。
マイクロプラスチックそのものに化学物質が添加されていたりすることも多いので、有害物質が含まれていることが少なくありません。そのマイクロプラスチックが、魚類の体内に含まれたまま凝縮し、その魚を摂取した人間の体の中に取り込まれることもあります。直接的な影響は現在も調査中ですが、胎児の成長を阻害したり、精子が減ったり、乳がんになりやすくなる、といった可能性が示唆されています。
何が原因なの?
手軽で加工しやすい上に、耐久性があり、安価に大量生産ができるプラスチック。
ストローやビニール袋、ペットボトルやお弁当の箱、服のボタンなど身近なものから、自動車や建設の資材などに至るまで、プラスチックは私たちの生活のあらゆる場面で使われています。
しかし、手軽であるがゆえその多くは「使い捨て」されていて、しかるべき処理がされずに自然環境に流出してしまうことも少なくありません。
捨てられたプラスチックが河川などを通して最終的に流れ着くのは「海」です。
プラスチックは、自然界の中で半永久的に完全に分解されることなく残り続けています。
解決への動き
2019年に大阪で開かれた世界20カ国首脳会合(G20)では、最大のテーマの一つが海洋プラごみ問題でした。
世界的な問題意識の高まりを受けて、国や民間でも以下のような対策を施しています。
海洋プラごみ対策
-
- 廃棄物処理制度やリサイクル制度の徹底行使、体制の強化、法律や条例の強化
- 陸域や海洋流出ごみの官民共同回収
- 買い物時のビニル袋からエコバッグへ推進
- プラスチック製ストローから紙製ストローへ
- 発砲スチロール製の鮮魚箱や農産箱のリサイクル
- 植物由来の成分解性プラスチックによる代替
- ラベルなしのペットボトル
・・・等々
日本は米国に次いで1人当たりのプラスチックごみ廃棄量が多い国です。
プラスチック削減に私たち一人ひとりが協力するべき時だと感じます。