現状

親に安定した収入がない、もしくは収入が低いなどの理由で、その子どもも貧困状態に陥ってしまい、就学や就労が満足にできなかったり、特に酷い家庭では、食事もしっかり食べられず必要なものを揃えられないといった状況に陥っています。

 

沖縄県は全国平均の数値を上回る高い貧困率となっており、特に子どもの相対的貧困率は全国の数値の比べて13%以上も上回っていることが分かります。
沖縄県が行ったアンケートでは、貧困層の家庭では食料や衣料が買えなかった経験や、電話料金などの滞納、電気・ガス・水道を止められた経験がある世帯が多くあり、また、非貧困層でも一定の割合でそのような経験がある世帯があることが分かっており、沖縄県全体で収入が不安定であることが伺えます。
さらには、貧困家庭で育ったがために十分な教育を得ることができずに、大人になっても収入が安定した職業に就くことが難しい、という貧困の悪循環が起こりがちであることも大きな問題となっています。

全国平均 沖縄県
子どもの相対的貧困率 16.3% 29.9%
18~64歳の大人が1人の世帯の
世帯員の貧困率
54.6% 58.9%

※出典:内閣府 沖縄振興議会 「沖縄県子どもの貧困対策計画」2016

何が原因なの?

沖縄県の社会構造および経済構造により、親の低収入や収入自体の不安定さと生活コストの高さから貧困に陥っています。
特に沖縄県は日本一離婚率が高く、ひとり親で苦労して育てている家庭が多いのは大きな課題です。
合わせて起きている原因としては、「貧困である状態」について明確な定義がなかったことから、その把握が遅れ、子どもの貧困対策の必要性や目標の設定、必要な施策などの議論といった共通見解が生まれにくいという状況があります。

解決への動き

内閣府によると「沖縄県子どもの貧困対策計画」において令和4年3月までの「子どもの貧困対策のビジョン」を掲げています。

また、沖縄県では大きく分けて以下のような3つの施策を掲げています。

子どもの貧困対策の施策

  • ライフステージに応じた仕組みの構築
  • 保護者への支援
  • 貧困対策推進基金の創設

※国連 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)

乳幼児期、小・中学生期、高校生期、支援を必要とする若者という子どものライフステージに応じて、支援を必要とする子どもや、子育てをする家庭に繋がりを持ちながら、適切な支援および支援機関などへ繋げる仕組みを構築しています。
また、その保護者への支援も欠かさずに、特に生活困窮家庭やひとり親家庭に関して、生活に関する相談や支援、さらには安定した収入を得るための保護者の職業訓練や就職先の斡旋、場合によっては保護者への就学や学び直しの支援なども行っています。
さらには「沖縄県子どもの貧困対策推進基金」が創設され、30億円ほどの大規模な創設であり、ニーズに対して迅速かつ継続的な支援を行うことを狙いとして行っています。

いずれにしても、社会構造や離婚問題など深い問題との関わりも大きいため、対症療法だけではなく、根本的な改善のための継続的な対策が求められていますし、自治体だけではなく一人一人の支援や協力が求められていると言えるでしょう。

※出典:内閣府公式サイト 沖縄振興議会
「沖縄県子どもの貧困対策計画」2016