現状

沖縄県の最低賃金は2020年度で792円であり、年々上がってきてはいますが、全国的に見ると実際はワースト1位の賃金です。
さらには、過去沖縄県は1人当たり県民所得は最下位、非正規雇用率が1位、失業率が1位、給食費未納率が1位、子どもの貧困率が1位など、さまざまな貧困の指標となるデータで残念ながらワーストを記録している現状があります。

県民所得ランキング 2017年度
順位 都道府県 一人当たりの県民所得 [万円]
1位 東京都 542.7
2位 愛知県 368.5
3位 栃木県 341.3
・・ ・・ ・・
45位 宮崎県 248.7
46位 鳥取県 248.5
47位 沖縄県 234.9

※出典:内閣府 県民経済計算 2017年度より

何が原因なの?

沖縄の貧困の原因は、経済構造と社会構造が複雑に絡み合い、さまざまな原因があることを理解しなければなりません。

でき婚率と離婚率

沖縄県は、でき婚率、若年出産率、離婚率がそれぞれ全国1位です。つまりこれは離婚の多くが「子連れ」であることを意味しており、若年出産、若年結婚、若年離婚を通じて貧困世帯が生み出されています。
そして若年結婚は離婚率も高く、早すぎる出産は若い親から高等教育の機会を奪ってしまい、生涯賃金を大幅に引き下げる原因になるため、貧困を子どもの世代に引き継ぐことになっています。

生活コスト

沖縄県は物価が安いとよく言われますが、その主な指標として家賃などの「住居」に関してデータが提示されることが多く、実際に普段の暮らしで必要な「食料」や「水道・光熱費」を見てみると、所得が全国平均の3分の2に過ぎないことを考えると、むしろ高いと悲鳴をあげるべき金額になっています。
沖縄県外で生産された食品は船や飛行機で運搬される際の輸送費などと比例して高くなり、本土では1,800円で買えるお米5kgを 沖縄では2,300円で購入せざるを得ないとすると、地元農産物が安価に買えるからといって生活が楽になるわけではないという現実があります。
よって収入が低いにもかかわらず生活コストが高いため、必然的に貧困になってしまいます。

都道府県別消費者物価地域差指数
※出典:総務省統計局公式サイト「小売物価統計調査(構造編)調査結果」2020
※沖縄の物価はとりわけ安いわけではない
物価水準 都道府県別「総合指数」に対する10大費目別寄与度
※出典:総務省統計局公式サイト「小売物価統計調査(構造編)調査結果」2020
※沖縄では食料費の物価水準が高い

 

労働者側もまるで自分から貧困を選択するかのように、管理職になりたがらなかったり、パートも正社員になりたがらないという傾向があり、また生活保護についても、生活保護基準の金額が低すぎることに加え、生活保護を受けることができるのに受け取らないということもあります。
これは沖縄県民の「現状を変えない人」には優しいけれど、「現状を変える人」には圧力がかかる社会であることが要因となっています。
生活保護を受け取れば偏見の目で見られたり、意見を述べたり、現状を打破しようとすれば「良い子ぶっている」と言われ、沖縄料理には決まった食材や調味料が使われ、他の安くて良いものがあるのに使わなかったり、ものの考え方から消費行動までもが保守的で「見えない圧力」に包まれ、狭い社会・濃密な人間関係の中でそのバランスを取ることに重きを置いて生活していることが低所得の原因に繋がっています。

解決への動き

各企業だけでなく沖縄県全体、日本全体が、個性を生かし、成長意欲を燃やし、お互いで切磋琢磨し、変化していくことが、現状維持よりもはるかに暮らしが良くなるのだから悪いことではなくむしろ良いことであると認識し、理解することが大切です。
そしてこのような事業をどんどん生み出し、補助金に頼らずに一人一人の所得を上げる動きが必須です。